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 情報処理推進機構(IPA)と情報通信研究機構(NICT)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを、人工知能(AI)技術を使って自動的に分析・評価するシステム「WISDOM-DX」を共同開発し、IPAが各種調査のためのツールとして利用を開始した。インターネットで公開されているDX関連の情報を企業ごとに自動収集し、その情報を基にDXの取り組み具合をAIが判断する。

 開発に携わったIPAの奥村明俊理事は「今までは400社程度のDX活動を評価するのに半年ほどかかっていた。WISDOM-DXを使えば、それ以上の数の企業活動をすぐに可視化できる」と期待を述べる。

 企業名を入れるだけで、いわば「DXの成績」が数値として算出される。数値自体に意味はないが、他社の数値と比べることでその企業のDX活動が進んでいるか遅れているかを判断できる。

 企業のDX活動を評価する代表的な取り組みとしては、経済産業省と東京証券取引所がアンケート結果を基に選定する「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」(以下、まとめてDX銘柄2021と表記)がある。

 こうしたアンケートを実施するに当たっては課題があった。「客観性と一貫性の担保のために多大な時間とコストがかかること」(奥村氏)だ。

 まずアンケートを設計する際は、公正な評価のために細分化した多数のアンケート項目を設定する必要がある。回答企業の担当者は、社内の様々な部署に問い合わせたうえで、こうした大量の項目に答えなければならない。評価の際も、複数の専門家が時間をかけてアンケート結果を吟味し、どのような評価が妥当かを協議する必要がある。一方、WISDOM-DXではこうした作業が必要ないため、大幅な省力化が可能になるという。

 WISDOM-DXのキモは、NICTが2021年3月に改良版を公開した「WISDOM X」という質問回答システムを採用した点だ。WISDOM Xでは、ユーザーが質問を文章の形で入力すると、その答えが含まれているWebページを探し出し、答えに該当する部分を示してくれる。

 例えば、「日経クロステックはどんなサイトですか」と質問すると、「テクノロジーと経営にかかわる総合情報サイト」や「テクノロジー総合サイト」といった複数の回答が表示される。

WISDOM Xで「日経クロステックはどんなサイトですか」と質問した結果
WISDOM Xで「日経クロステックはどんなサイトですか」と質問した結果
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