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 ゲノム解析スタートアップのRhelixa(レリクサ)は2021年10月20日、新型コロナウイルスの感染力をコンピューターシミュレーションによって評価する受託サービスを始めた。ウイルスのゲノム情報を分析し、どの程度の感染力を持つのかを評価する。従来の実験による評価に比べて短期間で結果が得られるため、新たな変異ウイルスの出現に迅速に対応できる可能性がある。

Rhelixaはゲノム解析に強みを持つ
Rhelixaはゲノム解析に強みを持つ
(出所:Rhelixa)
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 世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス。日本ではワクチンの接種が進み感染状況は減少傾向にあるものの、年末にかけての「第6波」の到来も懸念されている。依然として大きなリスクなのが新たな変異ウイルスの出現だ。「デルタ型」に代表されるように、感染力や重症化リスクが高い変異ウイルスが知られている。

 ウイルスに限らず、生物は増殖を繰り返す過程で一定の確率でゲノムに変異を生じる。ゲノムに生じた変異は、ゲノム中の遺伝子がコードするアミノ酸配列や、そのアミノ酸から成るたんぱく質の立体構造にも影響を及ぼすことがある。変異はランダムに生じるが、時として感染力が高く人間に悪影響を及ぼすことがあり、こうして出現した変異ウイルスは爆発的に感染を広げる危険性がある。

 変異ウイルスが検出された場合はその感染力を早期に評価し、特性に基づいた治療薬・ワクチンの開発や感染防止策の立案などを進めることが重要だ。感染力を評価するには通常、細胞や動物を用いた実験を行う必要がある。しかし実験には時間がかかるうえ、変異ウイルスが外部に流出しないよう特殊な研究施設でしか行えず、実験従事者が感染リスクにさらされるといった問題があった。

 Rhelixaが提供を始めた感染力評価サービスは、実験が不要でコンピューター上で完結するのが特徴だ。スーパーコンピューターを使った独自開発のシミュレーション技術によって数週間以内に結果を得ることができる。Rhelixa取締役COOの内海貴夫氏は「この変異ウイルスはリスクが高いということが早期に分かれば、その後の対応も変わってくる。まずシミュレーションをしてその後のアクションを決めていくといった使い方が可能になる」と意義を語る。