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 百十四銀行がりそなホールディングス(HD)と戦略的業務提携を結んだと発表したのは、2021年9月7日のことだ。提携に基づき、りそなHDの「りそなグループアプリ」を基に百十四銀行向けバンキングアプリを共同で開発し、2022年度後半に提供する。

百十四銀行がりそなHDと結んだ業務提携の内容
百十四銀行がりそなHDと結んだ業務提携の内容
(画面提供:百十四銀行)
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 これまで百十四銀行は、アプリを基本的に自前で開発してきた。主軸を成すのが、2018年に提供を始めたバンキングアプリの「百十四銀行アプリ」。口座残高や入出金明細に加えて、個人ローンの申し込み、資産運用シミュレーションといった機能を提供する。続いて2019年に「114通帳アプリ」、2020年にキャッシュカードの再発行手続きなどを可能にする「114デジタル手続アプリ」を提供している。

 だが、「このままアプリの内製化を続けていても、体制やスピード感の面で問題があると考えていた」と、百十四銀行経営企画部経営戦略室上席調査役の中河宗夫氏は説明する。百十四銀行アプリは機能こそ豊富だが、「実態はポータルアプリ。画面はスマホに最適化していても、操作感はPCと同じ。特に若年層には、シンプルな操作で軽快に動くアプリでないと浸透しない」(中河氏)。

 同行にとって、バンキングアプリの強化は喫緊の課題だ。デジタル化やコロナ禍などで顧客の行動が変化し、来店客が減少。「来店顧客向け営業が中心だった体制を見直し、顧客との新たな接点を確保することがアプリの大きな狙い」と中河氏は話す。スピード感を持って新アプリを開発するためには、有力なパートナーと組むことが欠かせないと判断した。