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 NECと日本オラクルがクラウド分野での協業を強化した。NECの技術者が米オラクルの開発部門に常駐し、「Oracle Cloud」シリーズ向けの移行支援サービスを共同で開発。日本企業の基幹系システムやそこで使われているOracle Databaseのクラウドへの移行を支援する。「虎の子」である基幹系データベースの顧客が他クラウドに流れるのを防ぐため、背水の陣を敷いたといえる。

 「基幹系のクラウド移行の本格化はこれからだ」。日本オラクルの三沢智光社長は力を込める。2社の協業強化の取り組みは主に3つあり、1つは日本企業向けに基幹系システムをクラウドへ移行・運用するサービスの共同開発。2つめはサポート体制の強化。3つめは人材育成だ。いずれも顧客が基幹系データベースのクラウド移行を円滑に進めるためのものだ。

 1つめのサービスの共同開発では、オラクルのデータベース「Oracle Database」や「Oracle Exadata」をOracle Cloudに短時間で移行させる仕組みを整えた。データベースの移行用ツール中心に、移行前に必要な設計の時間を半減、移行作業の時間を3割削減できるようにした。

 サポート体制の強化は、オラクルの米本社の開発部門や日本オラクルのサポート部門にNECの技術者が常駐し、日本の顧客企業のサポートに共同で当たる。2社がデータベース向けで20年以上の実績を持つサポート体制の枠組みをクラウドにも拡大する。クラウドでの共同サポート体制は世界の先陣を切って始めるとする。

 人材育成は、Oracle Cloudのベンダー資格の保有者をNEC社内に2024年3月期までに500人確保する。このうち100人は大規模システムのクラウド移行など、特に専門性が高い作業に応じられる技術者にする方針だ。

基幹系DBを奪われれば死活問題に

 今回の協業強化に先立ち、2社はクラウド分野で17年に提携した。ただNECはその後、オラクル以外にも協業先を増やしてきた。例えば米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と20年11月に、米マイクロソフトとは21年7月にそれぞれ協業を発表した。

 米調査会社カナリスが21年7月に発表したIaaSとPaaSを合計したクラウドサービスのシェア調査によれば、AWSが世界シェア1位、マイクロソフトが2位につける、オラクルは「その他」扱い。そんなオラクルとの協業を今になって強化する意味はどこにあるのか。