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 オンラインによる映像通信システムを利用し、高難度の手術を遠隔から指導したり視聴したりする取り組みが始まった。これまでは国内外のエキスパート医師が立ち会って指導していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で特に海外から講師を呼びにくくなった。オンラインによる指導で「すぐそばにエキスパートがいる」感覚で学べるという。

千葉大学医学部付属病院は台湾の医師と手術室の映像をリアルタイムに共有し、器具の動かし方などについてアドバイスを受けた
千葉大学医学部付属病院は台湾の医師と手術室の映像をリアルタイムに共有し、器具の動かし方などについてアドバイスを受けた
(出所:千葉大学医学部付属病院)
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 千葉大学医学部付属病院の呼吸器外科はジョンソン・エンド・ジョンソンが提供する映像通信システムを利用し、台湾にいる名医の指導の下、非常に難しい肺がん手術を成功させた。その手術とは「単孔式胸腔(きょうくう)鏡手術」と呼ばれるもの。患者の体に1つだけ穴を開け、そこから胸腔鏡や器具を体内に挿入して手術する。胸部を開ける手術は骨の切除が必要になるなど患者への侵襲性が高い。一方、単孔式胸腔鏡手術は体に1つの穴しか開けないため、患者へのダメージが低いとされる。

 新型コロナウイルス感染症拡大以前は、外科医にとって次のようなフローで新しい手術手技を習得するのが一般的だった。まず実際の手術時に撮影された映像を確認し、器具の動かし方などを繰り返し把握する。その後、模型を使ったシミュレーションなどでトレーニングを積む。最終的にエキスパートの医師に立ち会ってもらいながら手術をして手技を習得する。

 手技習得の過程でエキスパートの医師に立ち会ってもらうことは重要な工程だ。手術映像の視聴だけでは、術中に器具で押すと出血する可能性がある臓器の場所などを正確に把握するのに限界がある。手術動画はうまくいった手技の場面を選んで編集して公開されていることが多いため、リスクとなる器具の動かし方に気付きにくいという。