全1916文字
PR

 リコージャパンは2021年8月に医療機器の管理支援サービスに参入した。クラウド型医療機器管理システムの導入から基本点検までを支援する。リコーグループはこれまでも医療機関向けの印刷機などを展開してきたが、医療機器管理支援を第1弾として今後は医療の現場に近いところでの取り組みを本格化する考えだ。

 医療機器管理支援サービスへの参入に際しリコージャパンが協業のパートナーとしたのは、クラウド型医療機器管理システムを開発するMedikiki.comだ。同社の「MMS(Medikiki Management System)」を使うと、システムに登録してある医療機器の点検スケジュールや保管場所などを、スマートフォンやパソコンからクラウド経由で確認し一元的に管理できる。

クラウド型医療機器管理システムの管理画面
クラウド型医療機器管理システムの管理画面
(出所:Medikiki.com)
[画像のクリックで拡大表示]

 MMSを利用する医療機関はシステムを導入する際、まずは管理したい医療機器をシステムに登録する必要がある。管理シールの作成や貼付といったMMSの導入に伴う初期作業や、その後の定期的な基本点検を代行するのがリコージャパンの始めた「リコー医療機器管理支援サービス(通称RMMS)」だ。基本点検は毎月1回実施し、対象機器の清掃や動作確認などを行い、点検結果のシステムへの入力までリコージャパンが担う。

コメディカルの負担増加が背景に

 リコージャパンがこうした事業に参入した背景には、医療機器の管理に十分な労力を割けないという現場の事情がある。現在の医療法では医療機器の点検が義務づけられている。こうした業務は、医療機器の点検を担う専門職である臨床工学技士などのコメディカル(医師の指示の下で医療業務を行う人の総称)が担うのが一般的だ。しかし、医療現場では臨床工学技士や医療機器の管理者が不足しており、特に中小規模の医療機関では人材の確保が困難なケースが多い。

 加えて医療の現場では、医師の働き方改革が進みつつある。リコージャパンによると、医師が担ってきた業務の一部をコメディカルがカバーするというタスクシフトが進むことが予測されるといい、コメディカル不足に拍車がかかる懸念がある。

 医療機器自体も、複雑なセンサーや人工知能(AI)を搭載するなど高度化している。高度な医療機器の管理には手間がかかるため、輸液ポンプといった比較的簡易だが数が多い医療機器の管理まで手が回らなくなる可能性がある。

シリンジポンプの点検風景
シリンジポンプの点検風景
(出所:リコージャパン)
[画像のクリックで拡大表示]

 医療機器管理支援サービスで目指すのは、こうしたコメディカルの負担を軽減することで臨床業務に集中する時間を増やし、より安心安全な医療を提供できる環境を整えることだ。

 管理支援の対象とする医療機器は輸液ポンプやシリンジポンプ、人工呼吸器などの5種類で、順次拡大していく方針だ。リコージャパンによると、これら5種類は比較的管理が簡単だが、施設内の医療機器の個数のうち70%程度を占めるほど数が多いため管理業務の負担が大きい。リコー医療機器管理支援サービスを試験導入したある医療機関の事例では、導入前に月54時間かかっていた管理業務を導入後は月20時間に減らせたという。