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 IT子会社にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材の育成は急務だ。住友生命保険のIT子会社であるスミセイ情報システムは2021年10月、デザイン思考などDXに必要なスキルを身につけた人材を育てるために、4日がかりの社内ハッカソンを開催した。その狙いや成果を紹介しよう。

 スミセイ情報システムは2021年10月8日までの4日間、創立50周年を記念した社内ハッカソン「SLC 50th Hack -小さく始めるDX-」をオンラインで開催した。メインフレームで稼働する親会社のレガシーシステムの保守・運用が主な業務だった社内エンジニアに、デザイン思考を用いた開発に慣れてもらうことがハッカソンを開催する狙いだ。同社にとって大規模なハッカソンは3回目となる。

 デザイン思考をテーマに選んだのは、ユーザーの要望に合わせて製品やサービスを開発するデザイン思考が、DX人材にとって欠かせないスキルになると考えたためだ。「DXを推進するシステムでは顧客との接点が重要になる」(スミセイ情報システムの金井俊明ITA企画部主席マネージャ)。従来の保守・運用は基幹システムを対象とすることが多く、エンドユーザーと接する機会は少ない。一方、DXシステムではエンドユーザーの視点が重要となる。

 ハッカソン(Hackathon)は「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、ソフトウエア開発者が短期集中型で開発に取り組むイベントである。今回のハッカソンを運営するスミセイ情報システムの人材開発部に所属する宮田亜希氏は、「顧客が何を思い、何を求めているのかを顧客の立場で考えるスキルを養う」とハッカソンの狙いを説明する。

身近な悩みの解決を通じてスキルアップを図る

 社内ハッカソンでは同社のエンジニアが2~5人でチームを組み、身近な課題を解決するプロトタイプを開発する。ハッカソンには7チームが参加した。具体的には半径100メートル以内にいる人の課題を聞き、その課題を解決するプロトタイプを開発する。そして実際にプロトタイプを使ってもらいフィードバックを得るというユーザー中心のシステム開発を学ぶ。開催期間は4日間の本格的なプログラムだ。

 ハッカソンの1日目は、課題の発見とクラウドなどの技術を理解する。2~3日目でプロトタイプの開発や検証をする。プロトタイプ開発の過程では外部のUX(ユーザー体験)専門家を招き、デザインや使い勝手をアドバイスしてもらった。そして10月8日の4日目で成果を発表した。成果発表会には、スミセイ情報システムのデジタル人材育成担当部門の担当役員や藤山勝伸社長も参加した。

オンラインで開催したハッカソンの様子
オンラインで開催したハッカソンの様子
(出所:スミセイ情報システム)
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 ハッカソンでは誰もが感じているような身近な課題の解決に取り組んだ。「クリーニング店に服を取りにいくのを忘れてしまう」「どのような服を着ていけばいいのか分からない」「在宅ワークによって運動量が減り、体形が気になる」といった社員にインタビューをして得られた課題を取り上げた。