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 Zホールディングス(ZHD)は2021年11月2日、LINEとの経営統合効果を明らかにした。コスト削減や事業合算による増収増益などの成果の一方、真の相乗効果を発揮するためのある重要な統合作業は後回しに。LINEが利用者データを海外で管理していた問題が、統合作業に影を落としている実態が浮かび上がった。

 「2021年3月に経営統合して以来、全力でPMI(買収後の統合作業)に取り組んできた。選択と集中を進め、様々な施策を着実に実行できた半年だった」。ZHDの川辺健太郎社長Co-CEO(共同最高経営責任者)は2021年4~9月期の連結決算発表の席で、こう胸を張った。

決算や事業統合の進捗を報告する川辺社長
決算や事業統合の進捗を報告する川辺社長
(出所:ZHDのオンライン決算会見の画像をキャプチャー)
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 足元の業績は好調だ。2021年4~9月期の連結売上収益(売上高に相当)は前年同期比34.8%増の7509億円、利益の指標とする調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同23.1%増の1871億円と、共に4~9月期で過去最高だった。

 事業セグメント別ではネット広告事業が広告主の需要回復を受けて好調だったほか、LINEが広告事業の成長などにより4四半期連続で営業黒字を達成した。EC(電子商取引)事業については物販系の取扱高が前年同期比で14.3%増えた。重点的に投資する事業の1つであるスマートフォン決済の「PayPay」については、2021年10月に決済手数料を有料にした後に解約した店舗の割合が0.2%と「極めて軽微」(川辺社長)だった。

 2021年3月に経営統合して以来の事業や業務の統合作業、いわゆるPMIも堅調だとした。事業面ではヤフーのネット広告をLINEアプリのニュース面に配信し始めたほか、2021年8月からPayPayの加盟店で「LINE Pay」で支払えるようにした。

 コスト削減にも取り組んだ。2021年度通期で前期比100億円程度のコスト削減効果を見込む。グループのオフィス拠点を集約したほか、LINE Payの営業費用の削減、資金調達やコンテンツ調達のコスト最適化に取り組んだ結果という。PMIにおいて重要とされる人材や人事制度の融合に関する目立った言及はなかった。

 一方で、LINEがアプリ利用者の個人データを海外拠点で扱っていた問題が、経営統合作業に影を落としている実態も明らかにした。ZHDは2021年3月に同問題が発覚して以降、「グループ全体でデータガバナンス強化に最優先で取り組んできた」(川辺社長)。その結果、経営統合による真の相乗効果を発揮するために欠かせない、ある重要な作業を後回しにしていたことが分かった。