全1806文字
PR

 GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)受信装置メーカーのスイスu-blox(ユーブロックス)は、自動運転で求められる数~数十cm精度の自車位置測定を実現可能とする技術を開発していることを明らかにした。GNSS受信装置が対応可能な周波数帯の組み合わせを変えたり、対応可能な補正データを増やしたりするなど、さまざまな方向からの開発を進めている。

* GNSSとは、米国のGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)、日本の準天頂衛星システム(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合(EU)のGalileo、中国のBeiDouといった衛星測位システムの総称。

 カーナビで使用しているGNSSによる測位精度はだいたい2~3m。自車が車線内に存在するかどうかも特定できないのが実情だ。そこで、同社はこれまで、L1帯とL2帯と呼ばれる2つの周波数を使って対流圏や電離層による遅延を計算してcm級の精度を実現する方法を提案してきた。また、実際、そのための2周波対応のGNSS受信モジュールを開発してきた。

 だが、GNSSの電波は、ビルの谷間ではビルの壁面に反射し、どれが直接波か反射波か分からなくなってしまう。また、トンネルやビルの谷間、高架橋の下などでは、GNSSの電波が弱いか届かないこともあった。

 そこで今後の方式として同社が提案するのが、L2帯ではなくL5帯とL1帯を組み合わせる方式である。同社の調査では、L5帯とL1帯を組み合わせると、ビルの谷間や高架橋の下などでL2帯との組み合わせよりも高い精度で自車位置を測定できることが分かっている(図1)。同社では、そうした組み合わせを可能とする開発を進めている。

図1 u-bloxが大阪市のあべのハルカス周辺の道路で実施した自車位置測定の結果
[画像のクリックで拡大表示]
図1 u-bloxが大阪市のあべのハルカス周辺の道路で実施した自車位置測定の結果
[画像のクリックで拡大表示]
図1 u-bloxが大阪市のあべのハルカス周辺の道路で実施した自車位置測定の結果
ビルの谷間や高架橋の下でも、L1帯とL5帯を利用するとより精度高く自車位置を測定できたという。(出所:u-blox)

 実は、GNSS用の人工衛星は、寿命が近づいたものから新しい人工衛星への切り替えが段階的に進められている。新しい人工衛星では、これまでのL2帯からL5帯への移行が図られている。同社は、L1帯とL5帯に対応したGNSS受信モジュールのサンプル提供を2022年第2四半期に開始し、その量産を同年第3四半期に開始する計画だ。