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 SBテクノロジーの業績が好調だ。2021年10月27日には、2022年3月期の連結業績予想を上方修正した。売上高は期初予想の590億円から10%の上乗せとなる650億円、営業利益は同43億円から46億円にそれぞれ見直した。

 上方修正に大きく寄与したのは公共関連事業である。同事業の売上高は「前期まで30億円規模だったが、今期は100億円規模」(同社)を見込む。デジタル庁の設立や自治体の標準化でさらなる追い風となるか。

2022年3月期の公共関連事業の売上高は前期比3倍を見込む
2022年3月期の公共関連事業の売上高は前期比3倍を見込む
(出所:SBテクノロジー)
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次期自治体情報セキュリティクラウドで受注拡大

 SBテクノロジーの阿多親市CEO(最高経営責任者)は10月27日の決算説明会で、業績が好調な要因として「次期自治体情報セキュリティクラウドと周辺案件の受注」「エンタープライズ顧客のIT投資の堅調な回復」「ソフトバンク向けIT支援案件における対応範囲の拡大」の3つを挙げた。

 自治体情報セキュリティクラウドとは、都道府県と市区町村がWebサーバーなどを集約し、高度なセキュリティー監視を実施するものだ。2015年に日本年金機構で発生した情報漏洩問題を契機に動き出したが、都道府県単位で詳細要件を検討して整備したため、セキュリティー水準に差があるとの懸念が浮上。そこで総務省が最低限満たすべき事項(必須要件)や都道府県ごとに導入を検討する事項(オプション要件)を整理した「次期自治体情報セキュリティクラウドの標準要件」を2020年8月に公表した。

 これを受け、各自治体では次期自治体情報セキュリティクラウドに向けた更改の動きが進んでいる。SBテクノロジーは、次期自治体情報セキュリティクラウドでこれまで10県を落札済み。2021年10月末時点では、323市町村の利用が決まっている。以前の自治体情報セキュリティクラウドでは4県にとどまっていた受注数を大幅に伸ばしており、同分野のシェアは約20%に拡大した。