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 災害時に「駆けつける病院」が稼働する――。シーメンスヘルスケアは2021年11月9日、災害時などの救急医療で活用できる大型の車両「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」を東京曳舟病院に納入したと発表した。コンピューター断層撮影装置(CT)や超音波画像診断装置などに加えて、血液を分析する検査装置を搭載しており、救命救急時の検査や診断に対応する。AI(人工知能)診断支援ソフトウエアやオンライン診療なども利用でき、「動く病院」の役割が期待されている。

画像診断装置や検査装置を搭載した「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」
画像診断装置や検査装置を搭載した「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」
(撮影:日経クロステック)
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 メディカル・コネクスは検査車両と電源を供給する電源車両の2台で構成される。検査車両は全長12メートルで、車内には画像診断装置や血液を分析して検査する「免疫生化学分析装置」などを搭載した。車両スペースを拡幅できる機能もある。電源車両は発電機や冷蔵庫、薬物を管理する保管庫などを積んでいる。車両にネットワーク環境を整備しており、診療情報管理システムやITクラウドシステムなども利用できる。

 地震や台風、事故、テロなど災害時の救急医療では、負傷者を迅速に検査して治療することが求められる。メディカル・コネクスが被災地に駆けつけることで、現地での検査や診断が可能となる。車両の周囲にテントを広げて救護所を展開し、適切な治療を早期に始めたり、病院への搬送の際の優先順位を決めたりするのに役立つ。

 東京都が指定した災害拠点病院や東京DMAT(災害派遣医療チーム)指定病院である東京曳舟病院が、メディカル・コネクスの第1号を導入した。今後災害時の救急医療で利用するほか、新型コロナウイルス感染症が拡大した際に通常医療と動線を分けて検査や診療を実施する場合などに使う予定。災害時のメディカル・コネクスの利用を想定し、2022年2月に自衛隊の艦艇などと合同で訓練を実施する計画だという。

 東京曳舟病院が所属する医療法人伯鳳会(兵庫県赤穂市)はこれまで、新潟県中越沖地震や東日本大震災などをはじめ、2020年には新型コロナの対応でダイヤモンド・プリンセス号に医師や看護師らを派遣してきた。「これまでの災害救援活動の経験から、被災地で画像診断や検査ができれば救命率が上がると考え、メディカル・コネクスを導入した」と伯鳳会グループの古城資久理事長は話す。