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 スマートフォンやノートパソコンを使っていると気になる本体の発熱。長時間使用しているとスマートフォンの側面やノートパソコンのパームレストなど、使用者が触れている部分が熱くなってしまい、不快に感じるようになる。高負荷の作業中では、触れないぐらい発熱する場合もある。そんな中で米Apple(アップル)は、きょう体の発熱範囲をコントロールし、使用者がなるべく熱さを感じないようにする設計をしていることが分かった。

 今回、Appleの最新スマートフォン「iPhone 13 Pro Max」(以下、iPhone)と新型ノートパソコン「MacBook Pro 16インチモデル(M1 Max搭載)」(以下、MacBook Pro)、米Google(グーグル)の最新スマートフォン「Pixel 6 Pro」(以下、Pixel)の3製品において、分解作業前にサーモグラフィーカメラを用いて温度分布を調査した。まず前編として、スマートフォン2機種の比較を紹介する。

iPhone 13 Pro Max(写真左)とPixel 6 Pro(写真右)の外観
iPhone 13 Pro Max(写真左)とPixel 6 Pro(写真右)の外観
(写真:加藤 康)
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一部しか発熱しないiPhone、全面発熱のPixel

 まずiPhoneとPixelのスマートフォン2機種を比較した。なお、当日の室温は、約22~23℃である。両機種とも4K/30fpsの動画撮影をしながら温度を計測すると、どちらも最高温度に大きな差は無かったが、発熱範囲が大きく異なっていた。iPhoneはカメラモジュールやアプリケーションプロセッサーの周辺が高温になったのに対し、Pixelは本体全面が高温になったのである。

 まずディスプレー面をサーモグラフィーカメラに向けて2機種を置き、各スマートフォンで同時に動画撮影を開始した。早速両機種とも、アプリケーションプロセッサーが搭載されていると思われるメイン基板の部分が発熱を始めた。熱を帯びる速度はPixelのほうが若干早く、サーモグラフィーカメラ上では赤から白に色が変化していった。

サーモグラフィーカメラでスマートフォンのディスプレー面の温度を計測している様子
サーモグラフィーカメラでスマートフォンのディスプレー面の温度を計測している様子
写真左がiPhone、写真右がPixelで、2機種ともディスプレー面を向けている。(写真:日経クロステック)
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 開始直後はどちらも本体の温度が29℃程度だったが、数分が経過すると、温度はみるみる上昇していく。10分程度動画の撮影を続けると、iPhoneは35℃、Pixelは37℃まで上昇し、触ると温かいと感じるようになった。

 アプリケーションプロセッサーに加えて、カメラモジュールの周辺も発熱し始めており、サーモグラフィーカメラを見ると、iPhoneのカメラはぼんやりとした影だが、Pixelではカメラモジュール付近もはっきりと白く表示されてきた。

4K動画の撮影を始めて約10分が経過したところ
4K動画の撮影を始めて約10分が経過したところ
Pixelの最高温度が37℃、iPhoneが35℃で、Pixelのほうが温度は高いものの差は2℃程度だった。写真左がiPhone、写真右がPixel。(写真:日経クロステック)
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 次に2機種を回転させ、背面をサーモグラフィーカメラに向ける。すると、カメラ部分の形がしっかりと分かるような温度分布になっていた。iPhoneは3眼カメラのレンズの温度が低く3つの丸が黄色く浮かび上がっている。一方のPixelは長方形に長いカメラ部分の温度が高く、長辺の部分が白く浮かび上がっているように見える。

 ディスプレー面よりも基板やイメージセンサーに近い背面は、最高温度も高く、39℃を超えていた。ただ、ディスプレー面ではiPhoneのほうが約2℃低かったが、背面では両機種ともほぼ同じ温度に達していた。

背面の温度はディスプレー面よりも若干高く、カメラの形が浮き出て見える
背面の温度はディスプレー面よりも若干高く、カメラの形が浮き出て見える
写真左がiPhone、写真右がPixelで、今度は背面をこちら側に向けている。(写真:日経クロステック)
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 ここで興味深いのが、冒頭にも書いたように高温になっている範囲の違いである。iPhoneはカメラ側の3分の1程度の領域が赤くなっているのに対し、Pixelは背面全体が赤くなっている。つまり、Pixelは本体全体が熱いが、iPhoneは本体の半分は冷たいままなのである。