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 日立製作所は、出力350kWに対応した電気自動車(EV)向け「超急速充電器」を試作した。電池電圧を約800Vに高めたEVの充電に対応し、充電時間を短縮できる。一方で日立Astemo(アステモ、東京・千代田)は、800V対応EV向けインバーターを世界に先駆けて量産している。グループを挙げて、充電インフラ側と車両側の両面で800V化の新潮流を後押しする。

日立製作所が開発した350kW級急速充電器(出所:日立製作所)
日立製作所が開発した350kW級急速充電器(出所:日立製作所)
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 日本の急速充電器は、出力50kWにとどまるものが一般的。一方、欧州ではスイスABBなどが開発した350kW級の設置が始まっている。日立製作所は海外展開を視野に入れて「早期の量産化を目指す」(同社研究開発グループテクノロジーイノベーション統括本部電動化イノベーションセンタ主管研究長の中津欣也氏)という。

 超急速充電器の設置が世界で拡大すると日立製作所が見込むのは、EVの普及が進み始めたことに加えて、搭載する電池の大容量化が進んでいるからだ。大容量化で航続距離を伸ばせるものの、充電時間が長くなる。短くするために、充電器の高出力化が欠かせないと考える。

 ドイツBosch(ボッシュ)の予測によると、75k~100kWhの大容量電池を搭載したEVの比率が25年に20%に達し、28年には32%に拡大する。歩調を合わせるように、高出力化した急速充電器の普及が進む。米調査会社フロスト&サリバンは、30年に150k~350kWの急速充電器の設置台数が欧州で19万3000基に達すると見込む。