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 政府は大型経済対策の1つとして、マイナンバーカード保有者を対象に最大2万円分のポイントを付与する給付策を固めた。カードの取得に加えて、カードを健康保険証として利用登録したり、銀行口座をマイナンバーとひも付けたりするなど、政府が普及させたいマイナンバーの用途について利用者が所定の手続きを完了するごとに給付を増やす。いわばスタンプカードのような方式を採ったわけだ。

 政策を主導した公明党の山口那津男代表は、その狙いについて「(制度の達成ごとにポイントを与えるという)やり方に慣れていただくことで、デジタル化にふさわしい確実でスピーディーな給付を実現する基盤をつくる」と2021年11月13日の民放の報道番組で語った。

 実際に利用者がポイント付与を受けようとするかは、マイナンバーとひも付けた銀行口座がどう使われるかなど、制度の意義を国民に十分に浸透させることが課題となる。最大2万円分の「ニンジン」を原動力に、マイナンバー制度は普及段階から利用価値を出す段階へとステップアップできるのか。現時点での制度概要と課題を追った。

現行ポイントの未取得者を広く対象に

 自民・公明両党の合意によれば、最大2万円分を付与する新たなマイナポイントは(1)新たなカード取得者を対象に最大5000円分(2)マイナンバーカードを健康保険証として利用登録した人に7500円分(3)公的給付金の受け取り用としてマイナンバーと預貯金口座をひも付ける登録をした人に7500円分、と3段階で付与する。

 このうち(1)の最大5000円分のポイント付与は、今後新たにカードを作る人だけが対象ではない。2020年9月にスタートし2021年12月末に終了予定の第1弾のマイナポイント付与で、5000円分のポイントを受け取っていない人も対象にすることが、制度設計の過程で決まった。このため、カード未保有の人はポイント付与を受けるために、次の第2弾の付与開始までカード取得を待つ必要はない。またカードの申請時期が2021年4月末より後だったなどの理由を含めて、第1弾のマイナポイント付与に登録しなかった人やできなかった人も次の第2弾で対象になり、広く救済される。

 第1弾のマイナポイント付与は、マイナンバーカード保有者が特定のキャッシュレス決済手段を政府のシステムに登録すると、その決済手段の利用額もしくはチャージ額の25%分のポイントを最大5000円分まで付与する仕組みだ。つまり上限の付与には2万円の利用・チャージが必要となる。第2弾でもポイント付与の仕組みと上限額は同じとした。