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 あいおいニッセイ同和損害保険がRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の全社導入を順調に進めている。業務部門の社員それぞれが担当業務を効率化できるようにする狙いで、2021年8月20日から米Microsoft(マイクロソフト)のRPAツール「Power Automate」を全社規模で導入した。導入3カ月で450人が使うまで広がっている。順調な滑り出しには、以前ローコード開発ツールの普及が停滞したという「失敗」も生きている。

あいおいニッセイ同和損害保険の本社概観
あいおいニッセイ同和損害保険の本社概観
(撮影:日経クロステック)
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 Power Automateを使うと、メールソフトやスケジュール管理ソフトといった業務ソフトにおける定型的な作業を自動化できる。複数のソフトにまたがる作業を自動化したいときはソフト同士を連携させる「フロー」をつくればよい。

 例えば「上司のスケジュール管理ソフトに新しい予定が登録されたら、その内容を自分宛にメールで通知する」といった作業を自動化できる。社員は上司のスケジュールを都度確認する手間を省けるようになるわけだ。

 社員450人が2021年11月17日までに合計1409個のフローをつくり、約25万回実行したという。順調なスタートといえる状況について、あいおいニッセイ同和損保の釣田貴司業務プロセス改革部ソリューション開発グループグループ長は「業務のデジタル化を推進する中期経営計画に対応し、全社員が業務の効率化の担い手となる環境を整えられた」と手応えを感じている。

5年越しの課題を克服へ

 同社にとって、個人レベルの業務効率化は5年越しの課題だった。2016年度に別のRPAツールを試験導入した際に、個人レベルの活用に対しては活用を見送った経緯がある。当時、自動化すべき業務のアイデアを募ったところ1000件近く集まった。しかし、試験導入したRPAツールでは個人レベルの業務効率化では費用対効果が十分に出ないと分かったのだ。

 そこで、まずは紙の帳票のやり取りをなくすといった業務プロセス改革を推し進め、そのうえで部門全体に関係するような大がかりな業務に絞って、試験導入したRPAツールを展開した。2020年度までに大がかりな業務改革が相応の成果を上げたことから、2021年度に個人レベルの業務効率化に改めて乗り出した。

 個人レベルの業務効率化の再始動を後押ししたのは、導入コストが格段に下がり、2016年当時ほどRPA導入の費用対効果を精査しなくてもよいという事情もあった。まずPower Automateの導入について追加費用が要らなかった。2020年度にローコード開発ツールの「Power Apps」など別のマイクロソフト製品を導入していたためだ。