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 オランダ化学大手Royal DSMが開発したバイオマス(植物由来)ポリアミド(PA)樹脂が、自動車部品に採用された。ベアリング世界大手の日本精工(NSK)が、転がり軸受け保持器にDSMの同樹脂を採用した。22年に量産を始める。NSKは現在、石油由来のPA66樹脂を使っている。

 DSMの日本法人であるDSMエンジニアリングマテリアルズ(DSMジャパン)で日本・韓国・東南アジア地域のコマーシャルディレクターを務める高雄良平氏は、「自動車メーカーや自動車部品メーカーから、植物由来樹脂を使って部品の製造工程における二酸化炭素(CO2)排出量を減らしたいという声が高まっている」と言う(図1)。

高雄良平氏
図1 DSMエンジニアリングマテリアルズ(DSMジャパン)の高雄良平氏
(出所:DSMジャパン)
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 ただ、従来の植物由来PA樹脂は石油由来のPA樹脂に比べて一般的に、機械的特性や耐熱性、耐久性などが劣るという課題があった。また、樹脂の製造工程におけるCO2排出量の削減効果が限定的という制約もあった。DSMの植物由来PA樹脂はこれらの壁を乗り越えたことで、NSKの転がり軸受け保持器に採用された(図2)。

植物由来PA樹脂製の転がり軸受け保持器
図2 植物由来PA樹脂製の転がり軸受け保持器
(出所:NSK)
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 NSKに採用されたDSMの植物由来PA樹脂「EcoPaXX B-MB PA410(以下、新製品)」は、トウゴマから抽出した「ひまし油」由来の成分(セパシン酸)と、石油由来の成分(ジアミノブタン:DAB)が原料である。その配合比率はセパシン酸が72%、DABが28%となっている。二つの原料を重合して製品を作る(図3)。

植物由来PA樹脂の構造
図3 植物由来PA樹脂の構造
(出所:DSMジャパン)
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 このうち、石油由来のDABの部分に、「マスバランスアプローチ(物質収支方式)」という手法を適用した。同手法は、石油由来の原料に植物由来の原料を一定の比率で混ぜると、その原料で作った製品が第三者機関から「100%植物由来」と認定されるものである。

 DSMの新製品の場合、まず木の屑(くず)から抽出した「トール油」を使ってバイオベースのモノマーを作る。次に、DABの配合比率(28%)のうち10%を、このモノマーに置き換えた。その結果、「第三者機関から100%植物由来(28%マスバランスアプローチ)という認定を受けた」と、DSMジャパンでリージョナルプロダクトマネージャーを務める王 賽男氏は言う。機械的強度などの性能は、同手法を適用しない場合と変わらないとする()。

植物由来PA樹脂と石油由来PA樹脂の物性比較
表 植物由来PA樹脂と石油由来PA樹脂の物性比較
植物由来PA樹脂の性能は、マスバランスアプローチを適用しない状態の値。同アプローチの適用後も物性は変わらないという。(DSMジャパンの資料を基に日経Automotiveが作成)
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