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 同じ課題を抱える同業他社だからこそ学べることがある――。こうした考えから大手生命保険会社のIT子会社4社が合同ハッカソンを開催した。2021年11月12日に成果発表会を開催し、約50人、合計10チームが開発したプロトタイプを披露した。

 ハッカソンを開いたのは、第一生命情報システムと明治安田システム・テクノロジー、ニッセイ情報テクノロジー、スミセイ情報システムの4社。ハッカソン(Hackathon)は「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、ソフトウエア開発者が短期集中型で開発に取り組むイベントである。4社が合同でハッカソンを開催するのは初の試みだ。

 事務局を担当したスミセイ情報システムの金井俊明ITA企画部主席マネージャは「各社のエンジニアが刺激を受け、意識や技術の向上が期待できる」と合同ハッカソンの意義を説明する。これまでは同業他社のエンジニアの交流は少なかった。しかし合同ハッカソンにより、各社のエンジニアが同業他社の意見や開発手法に触れ、新たな知見や人脈、刺激を得られるという。

外部の技術者から教えを請う

 「Happy 4 Hack Day」と名付けられた合同ハッカソンは、チームメンバーを集めて開発するアプリケーションのアイデアを出し合う「アイデアソン」、有識者から技術を学ぶ「ハンズオン」、実際にプロトタイプを開発する「ハッカソン」という3つの工程に分けられた。4日間にわたって開催され、合計すると約35時間に及ぶ大規模なイベントになった。各社の若手からベテランまで幅広い層のエンジニアが参加した。

2021年10月に開かれたアイデアソンの様子
2021年10月に開かれたアイデアソンの様子
(出所:第一生命情報システム、明治安田システム・テクノロジー、ニッセイ情報テクノロジー、スミセイ情報システム)
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 ハッカソンで開発するのは、肉体的・精神的・社会的に満たされた状態である「well-being」なライフスタイルをサポートするアプリケーションのプロトタイプだ。生命保険に関するテーマは避けて、各社が取り組んでいるテーマを選んだという。

 合同ハッカソンの特徴として、外部のエンジニアに協⼒を仰いだことが挙げられる。プロトタイプは、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けのソフト開発をサポートするobniz(オブナイズ)のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)やLINE、Microsoft Azure、エーアイが開発する音声合成エンジンといった4種類のサービスのうち1つ以上を使うことが条件となっている。ハッカソン参加者はハンズオン時に技術に関する説明を受けた。開発するプロトタイプは外部の4社が提供するサービスのうち1つ以上を使うことが条件になっている。

 こうした新技術を活用したプロトタイプ開発はエンジニアの意識や技術の向上につながる。生保IT子会社の主業務の1つにメインフレームをはじめとするシステムの保守・運用がある。しかしDX(デジタルトランスフォーメーション)などを推進するには、クラウドなどの新技術を利用したシステム開発や、他社のエンジニアとの共創が欠かせない。このようなエンジニアを育てるためにもハッカソンという場はうってつけと言える。