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 日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の高騰が続いている。高騰理由は諸説あるものの、公開情報からは特定できない状況が続いてきた。しかし、ここへきて驚くべき量の「ブロック入札」の存在が明らかになった。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 経済産業省は11月9日、「2021年度冬季に向けた小売電気事業者向け勉強会」を開催した。今冬の電力需給が厳しくなるとの見通しから行われたものだ。参加者は小売電気事業者に限られたが、勉強会で電力・ガス取引監視等委員会が明らかにしたブロック入札に関するデータに、参加者に衝撃が走ったという。

 「本当に驚きました。これほどまでに大量のブロック入札が行われていながら、市場高騰が始まってから1カ月以上、情報すら公開されなかったというのは、どういうことなのでしょうか」

 ある小売電気事業者幹部は憤りを隠さない。複数の参加者によると、監視委員会が明らかにしたデータは「約定率が非常に低い大手発電事業者が7社おり、そのうち5社は入札量の9割以上がブロック入札だった」というもの。ここでいう大手発電事業者とは、大手電力7社、JERA、Jパワーの9社を指しており、この中の5社という意味だという。

 監視委員会は、JEPXスポット市場と時間前市場で30円/kWhを超える金額を付けた際には、大手電力(旧一般電気事業者およびJERA)に対してデータの提供を求め、公開することとしている。

関連情報: 電力スポット市場等の価格高騰時における大手電力事業者に対する監視及び情報公開の対応について

 この公開情報を見ると、高騰が発生した日に入札可能な電力を市場に供出しているかどうかが記されている。だが、ブロック入札によって約定しなかった分も、入札量としてカウントしているため、公開情報を見てもブロック入札の実態は読み解けない。

 ある小売電気事業者幹部は、こうつぶやく。

 「JEPXが公表している入札量の実績値に対して約定量が少ないことから、一定量のブロック入札が存在するとは思っていた。だが、JEPXのデータは全国のデータであり、エリア別の情報は公開していない。半数もの大手事業者が膨大なブロック入札をしていたことなど、知るよしもなかった」

入札量の9割がブロック入札でも「制限はなし」

 監視委員会はブロック入札自体には、何ら制限を課していない。「火力発電所の稼働を考えるとブロック入札が必要な場面がある。歯抜けでの約定では、発電所を一定出力で動かせない」と説明している。発電所の起動時などを想定しているとみられる。

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 ただ、入札量のほとんどをブロック入札にしている大手発電事業者は、ブロック入札を利用した売り控えをしていたと見られても、なんら不思議はない。

 監視委員会は勉強会にて、11月8日に開催した第350回の「電力・ガス取引監視等委員会」にて、ブロック入札に関して大手発電事業者に報告徴収を実施することを決めたと明らかにしたという。

関連資料: 第350回の「電力・ガス取引監視等委員会」