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 さくらインターネットは行政機関を対象としたクラウド事業の強化に向け、中央省庁や地方自治体に特化した営業や支援を手掛ける組織を2022年初めに新設する。同社クラウドサービスは2021年12月中に「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP、イスマップ)」に登録されるとみられる。デジタル庁が整備し中央省庁や自治体が共同利用する「ガバメントクラウド」をはじめとした行政機関向けクラウド市場に攻勢をかける。

さくらインターネットの田中邦裕社長
さくらインターネットの田中邦裕社長
撮影:日経クロステック
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ガバクラは「国内企業がなくてよいのか」

 さくらインターネットが2022年初めに新設する組織では、中央省庁や自治体への営業や運用支援のほか、関連する情報の収集や公共政策の調査などトータルで対応する。当初は5人程度の規模でスタートする。2022年度以降は、現在社内向けに展開しているクラウドサービス利用者向けの教育プログラムを行政機関などに対しても提供する。

 同社ではこれまで、2018年に設立した子会社のプラナスソリューションズが公共向けの営業や運用などを主に担当してきた。行政機関におけるパブリッククラウドの利用拡大を見据え、中央省庁や自治体の要望を聞きながら円滑に提案や支援ができるよう、新組織を主体とした新体制を構築する。

 組織の新設に先立ち、ISMAPの取得を申請した。ISMAPは政府が調達する民間企業のクラウドサービスについて、セキュリティーを担保しながら円滑に導入できるようにするための制度。事前の審査をクリアすると「安全なサービス」としてリスト登録される。リストは四半期ごとに更新され、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である「さくらのクラウド」は2021年12月の更新で登録されるとみられる。これを踏まえて、行政機関向けへの展開を強化する。

 さくらインターネットが行政機関向けクラウド事業を強化する背景は2点ある。

 1つは、2021年10月に決まったガバメントクラウドの先行事業で使うクラウドサービスに日本企業が入らなかったことだ。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「Amazon Web Services(AWS)」と米Google(グーグル)の「Google Cloud Platform(GCP)」が採用され、「Microsoft Azure」などを提供する日本マイクロソフトも2022年度のガバメントクラウドの調達に参画する意向を示す。「パブリッククラウドが国のシステムに使われていくのは重要な方向だが、そのサービス提供事業者に国内企業が入らなくてよいのかという問題意識がある」(さくらインターネットの田中邦裕社長)。