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かつては世界シェア52%

 太陽光発電産業に数十年以上携わっている人間にとって、馴染みの深いメーカーの製品が業界から消えていくというニュースは悲しくなる。

 先月に発表されたソーラーフロンティアのニュースもまさにその1つだ。

 さらに、ソーラーフロンティアの撤退は、日本における太陽電池生産産業の著しい弱体化を意味する。

 「昔々1990年代、米国は世界の太陽電池生産のリーダーでした。 1997年は、世界の太陽電池出荷量が100MWを超えた最初の年でした。日本では新エネルギー財団(NEF)が住宅用太陽光発電システムへ補助金支援政策を打ち出し、1999年までには、製造業(の拠点)は(米国から)日本にシフトしました」と、太陽光発電市場のリサーチ・コンサルティング会社の米SPVマーケットリサーチ(SPV Market Research) の創立者でチーフ・マーケットリサーチ・アナリストであるポーラ・ミンツ氏は振り返る(図1)。

図1●太陽電池出荷量の主要国別シェア
図1●太陽電池出荷量の主要国別シェア
(注:1997年から2020年、青色=米国、黄色=中国、緑色=欧州、赤色=日本、灰色=その他、出所:SPV Market Research)
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 SPVマーケットリサーチによる、1997年から2020年の間における太陽電池出荷量の国別推移を見てみると、1990年代初期は米国が太陽電池の製造拠点としてはリーダーであったが、1990年代中期以降に日本の製造が徐々に拡大してくる。2000年代には日本のシェアはなんと世界の50%を占めるまでに拡大した。しかし、2003~04年のシェア52%を頂点とし、2007年にまず欧州に抜かれ、2009年に中国に抜かれた時の日本のシェアは16%で、中国はすでにその2倍のシェア(32%)まで拡大していた。

 ちなみに、SPVマーケットリサーチのデータによると、2020年全世界太陽電池出荷量における中国のシェアは67%で、過去最大の割合となった。その一方で、過去のリーダーであった米国、日本のシェアは共に1%を下回っていた。