「顧客からは『今すぐ使える製品が欲しい』『何ができるのか分かりやすいサービスがいい』と言われる」
東京ビッグサイト(東京・江東)で開催中の「スマートファクトリーJapan 2021」(開催期間:2021年12月1日〜3日)では、出展者が異口同音にこんな見解を口にしていた。つまり「デジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートファクトリー、IoT(Internet of Things)と言われても何が、いつ、どの程度のコストでできるのか分かりにくい。どんな効果があるのか分かりやすく、簡単にすぐ導入できるサービスが欲しい」と訴える顧客が多いというのだ。
こうした声を受けてか、出展されていた設備やサービスには、機能・性能が分かりやすく、導入時の省力化を打ち出した製品・サービスが目立った。
センサー不要、カメラで稼働状況を把握
「カメラを設置するだけの簡単導入」をうたっていたのは、テクノア(岐阜市)の「A-Eye カメラ」だ。壁やポールなどに設置したネットワークカメラで積層信号灯や回転灯、NC操作盤を撮影し、人工知能(AI)がその画像を認識して、積層信号灯が設置された設備の稼働状況を把握したり、NC工作機械の稼働実績のデータを収集したりするシステムだ。
センサーの設置は不要で「ネットワークカメラを設置できれば工場の稼働状況を見える化できる」(同社)のがポイント。ネットワークカメラを設置し、パソコンや無線LANの設定をするだけなので、1時間程度で立ち上げられる場合もあるという。設備の旧型と新型とを問わず、インターフェースの新旧に悩む必要もない。
使い方は設備や機械によってさまざまだ。例えば、積層信号灯の場合は点灯しているライトが「青」なら「稼働している」、「赤」なら「稼働していない」と判断。NC操作盤の場合は、ディスプレーに「STRT」と表示されていれば「稼働している」、「HOLD」なら「稼働していない」と認識する*。同社の担当者によると、「放電加工機の液面の高さを撮影して、液面が基準より高い時は稼働と判断している例もある」という。
稼働時間のデータを集積したり、夜間の自動運転時に異常が発生した際には担当者のスマートフォンに電子メールを送って通知するといった使い方が可能だ。集積したデータはクラウドに送られ、蓄積されるので予知保全などに活用できる。
同社の担当者は、「どうすれば何ができるようになるのか、分かりやすさを求める顧客は多い。既に50社程度に採用されている」と話す。