パナソニックが青色レーザー加工機の事業化を加速させる。電気自動車(EV)に搭載されるモーターやバッテリーなどの小型化に伴い、銅材料に対する微細加工のニーズが高まるとして、銅への光吸収率の高い青色レーザーに着目。2022年度中に第1弾となるレーザー加工機を製品化する計画だ。それに先立ち、複数台の検証機で加工実証が可能な「プロセス実証センター」を21年12月に開設した(図1)。
青色レーザー加工機の事業化を担うのはパナソニックスマートファクトリーソリューションズ(PSFS、大阪府門真市)*1。同社における溶接機事業の歴史は古く、60年以上前から続く。当初からのアーク溶接に加えて、近年ではレーザー溶接に対するニーズが自動車業界を中心に増えているという*2。背景には加工部の小型化や形状の自由度の高まりがある。
独自方式で高いレーザー品質を実現
レーザー加工技術の中でも、パナソニックが現時点で力を入れているのが「DDL(ダイレクト・ダイオード・レーザー)」と呼ぶ方式だ。半導体であるレーザーダイオード(LD)を使ったレーザー加工機で、2014年に赤外波長(975nm)の製品を発売した。同社によるとDDLはエネルギー効率が高く、近赤外の場合で約40%と従来のファイバーレーザーの30%を上回るという。
同社のDDLは、波長合成(WBC:Wavelength Beam Combining)技術を使ってレーザー品質と出力の高さを両立しているのが特徴だ*3。複数の異なる波長を持ったビームを回折格子(光学プリズム)で集光する技術で、「他社の光学レンズを用いた空間合成方式に比べて、リモート性に優れる」(同社)とする(図2)。