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 ウクライナのIT会社、ELEKSグループは新事業や新製品の構想立案から情報システムや製品の設計・開発、保守・サポートまでを一気通貫で支援するサービスを日本で本格的に始める。顧客を開拓するため、日本法人ELEKS Japan(エレックスジャパン)が大日本印刷(DNP)と野村総合研究所(NRI)と資本提携し、ELEKS Japanの新社長にコニカミノルタで執行役員IT企画部長を務めた田井昭氏、マーケティング担当取締役にITサービスマネジメントの普及団体itSMF Japanの西野弘理事長をそれぞれ迎えた。資本提携と経営陣の強化は2021年9月に終えていたが12月1日に記者会見を開き、正式発表した。

ELEKS Japan強化策の記者会見における出席者(2021年12月1日)。左から大日本印刷の沼野芳樹常務執行役員、ELEKS Japanの田井昭社長、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使、ELEKS Japanの西野弘取締役、野村総合研究所の国府新上席
ELEKS Japan強化策の記者会見における出席者(2021年12月1日)。左から大日本印刷の沼野芳樹常務執行役員、ELEKS Japanの田井昭社長、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使、ELEKS Japanの西野弘取締役、野村総合研究所の国府新上席
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総勢2000人が一貫支援、コストパフォーマンスは約2倍

 ELEKSグループは同社のサービスを「DXデザイン・テクノロジーソリューション」と呼ぶ。その特徴として田井社長は、顧客が求める支援を1社で提供できること、しかも従来型の支援のざっと2倍のコストパフォーマンスを出せることを挙げた。

 経営コンサルティング会社やデザイン会社が手掛ける構想立案(デザイン)の支援、システム開発会社が請け負う情報システム・製品のアーキテクチャー設計やソフトウエアの開発、ITサービス会社が担当する保守やサポート、これらを主にウクライナにいる総勢2000人のプロフェッショナルが一貫して支援する。

 2000人はビジネスアナリシス、プロダクトデザイン、ソフトウエアエンジニアリング、データサイエンス、DevOps、顧客サポート、プロジェクトマネジメント、品質保証、インフォメーションデベロップメントといった分野ごとに集団をつくっている。

 聞きなれないインフォメーションデベロップメントとは、できあがったシステムや製品の説明書や操作マニュアル、利用方法のトレーニング動画などの作成を意味する。顧客が書いた文書の査読、校正も手掛ける。また、構想段階のアイデアをプロトタイプにして、それが動く様子を見せるイメージビデオを撮ることもある。

 こうしたプロフェッショナル集団から顧客の案件に応じて適任者を集めて「スマートチーム」をつくり、支援する。機械学習とドローンを組み合わせて航空機の外観検査を自動化する仕組みをつくるなど「最新の技術を持っておりハードウエアのコントロールもできる」(田井社長)。

 最も大事な構想立案にあたってはスマートチームのリーダーが来日し、顧客の担当者とワークショップを開いて話し合う。議論を受けてリーダーが「こういうことをしたいそうだがどう考えるか」とウクライナにいる2000人にすぐ伝え、アイデアを募り、構想のたたき台を顧客に提示する、といったことができる。

 日本とウクライナの時差を利用するため仕事を早く進められる。ウクライナのプロフェッショナルの単価は「日本より少し安いくらいだが、1社で全部をやり、短期間で成果を出すためコストパフォーマンスは日本のシステム開発会社の1.5倍から2倍くらいになる」(田井社長)。

プロジェクトの最上流から顧客と並走するビジネスに転換

 ELEKSグループが提供するのは一気通貫型のオフショアサービスと言える。実際、ウクライナは欧州で最大級のオフショア拠点として知られ、欧米各社が研究開発センターを開設している。ELEKS Japan強化策の記者会見に出席したセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使は「外交官としていろいろな国で仕事をしてきたがIT分野で協力関係をつくることを常に優先してきた」と語った。

 田井社長によるとウクライナは初等教育から数学重視の教育をしており、英語もできる人材がそろう。ELEKSグループが抱えるプロフェッショナル2000人のうち7割強は大学院を修了している。