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 臨時国会が2021年12月6日に招集され、2021年度補正予算案の審議が始まった。日経クロステックが集計した主なデジタル関連項目の総額は2兆8616億7100万円と、過去最大の規模に達した。

 このうち1兆8000億円強は、1人当たり最大2万円分を付与するマイナポイント事業が占める。ただし同事業を除いても、デジタル関連予算は通年予算並みの1兆円強と、補正予算としては異例の規模になる。デジタル田園都市国家構想に伴う地方への支援や、中小企業のデジタル化支援を大幅に拡充したことが大きな要因の1つだ。経済安全保障を背景に量子など先端技術の研究開発も増額している。

 例えば、総務省や経済産業省が地方でのデータセンター(DC)や海底ケーブルの整備に合計571億円を確保している。経産省がデジタル化などで中小企業の支援に投じる予算は約2000億円で、幅広い中小企業が活用できる制度にした。デジタル関連予算を拡大する流れは、2021年12月末に閣議決定する2022年度通常予算にも引き継がれる可能性がある。

9500万人にポイント付与を想定

 デジタル関連で最大の予算を投じる「マイナポイント第2弾」事業には、1兆8134億1000万円を確保した。総務省によれば、日本国民・居住者(約1億2500万人)のほぼすべてがマイナンバーカードの交付を受けるという政府目標を前提に、「9500万人が制度を利用してポイント付与を受ける」との想定で予算を決めたという。

表1 マイナンバー関連の予算
省庁項目金額(億円)
総務省1人最大2万円付与のマイナポイント第2弾18134.1
マイナンバーカードの普及促進346.2
デジタル庁公金受取口座登録制度の推進事業6
(内数)デジタル庁が担当する関連システムの改修など(101.9)

 2021年12月まで実施する現行のマイナポイント事業では、交付済みカードをキャッシュレス決済とひも付けてチャージ/利用すれば最大5000円分のポイントを付与する。第2弾でもこの取り組みを継続し、さらにマイナンバーカードを健康保険証として利用登録すれば7500円分、給付金などを受け取るための公金受取口座として登録すれば7500円分のポイントを追加で付与する。

 第1弾の事業で期限までにマイナンバーカードの交付を受けた対象者は4931万人いるが、11月末時点における制度の利用者は2455万人にとどまる。第2弾で9500万人が制度を利用するためには「マイナンバーカードをほぼ100%普及させる」「カード保有者の大半に制度を利用してもらう」という2段階での普及促進が必要となりそうだ。

 総務省は計画より遅れているマイナンバーカード交付を加速させるため、市区町村への支援などカード普及促進事業に346億2000万円を計上した。デジタル庁はマイナポイント向けシステムの改修など関連システムの整備で101億9000万円を投入するほか、マイナポイント制度の普及にも関わる公金受取口座登録制度の啓蒙や推進に6億円を計上している。

東京圏外に新設するDCを助成へ

 岸田文雄政権が掲げるデジタル田園都市国家構想の実現に向けた施策としては、デジタル拠点などを整備する自治体の助成と、データセンターなどインフラ事業者の誘致に重点配分した。

表2 デジタル田園都市国家構想関連の予算
省庁項目金額(億円)
内閣府デジタル田園都市国家構想推進交付金200
総務省データセンターや海底ケーブルの地方分散500
光ファイバーなどの整備17.8
携帯電話エリア整備13
経済産業省データセンターの地方拠点整備71
地域のデジタル人材育成・確保推進13.6
厚生労働省自治体の介護・障害福祉分野などのシステム改修など41
国保総合システムの改修や審査支払システムの電子化など131

 前者の自治体向け助成では、内閣府が担当する「デジタル田園都市国家構想推進交付金」で2つのテーマで助成先を募る。企業などを誘致するためのテレワーク拠点の整備と、ドローン活用や農業のIT化など成功類型があるデジタル活用の導入である。

 後者の事業者の誘致では、総務省が「東京圏外」にDCを新たに設置する事業者や、海底ケーブルや陸揚げ局を整備する事業者を対象に計500億円を助成する事業を始める。経産省も71億円を確保し、地方へのDC整備を後押しする。

 厚生労働省は地方自治体向けのシステム整備予算をデジタル田園都市国家構想として確保した。診療報酬や訪問介護のレセプト審査に用いる審査支払システムの改修などに131億円を充てるほか、地方自治体が使う介護・障害福祉システムの標準化に41億円を投じる。