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 川崎重工業は2021年12月9日、「グループビジョン2030進捗報告会」を開催した。カーボンニュートラル実現に向けて同社が注力する水素エネルギー。水素の製造から液化、運搬、発電といった各段階で自社の技術を生かせるとして、25年に1000億円超の水素事業規模を、30年には3000億円、40年には5000億円、50年には2兆円へと拡大させる計画を明らかにした。

「グループビジョン2030進捗報告会」で質疑口頭に答える川崎重工代表取締役社長執行役員の橋本康彦氏
「グループビジョン2030進捗報告会」で質疑口頭に答える川崎重工代表取締役社長執行役員の橋本康彦氏
(出所:日経クロステック)
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大型運搬船で輸送を効率化してコスト1/6を目指す

 現在、水素のコスト(船上引き渡しコスト)は1Nm3(ノミナル立方メートル)当たり約170円とされる。これを製造、液化、貯蔵(積荷基地)、運搬の各段階でのコスト削減によって30年には同30円、50年には同20円を目指す。川崎重工が関わって大きな効果を生み出せそうなのが、液化水素の運搬船の分野だ。

水素コストの現状と今後
水素コストの現状と今後
現在の水素コストは約170円/Nm3だが、各段階でのコスト低減を進めて2030年には30円/Nm3を目指す。(出所:川崎重工)
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 同社は、従来の小型運搬船の128倍となる16万m3の液化水素を輸送可能な大型運搬船の開発を進めている。建造費は数倍で済むため、単位体積当たりの建造コストは低くなり、運航に必要な船員も従来の2倍程度で済むなど労務費や保守費なども抑えられる。

川崎重工が開発を進める液化水素の大型運搬船
川崎重工が開発を進める液化水素の大型運搬船
従来の128倍という16万m3の液化水素を運べる。(出所:川崎重工)
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 その結果、建造費とランニングコストの合計では従来の40分の1近くまで輸送コストの低減が見込めるという。具体的には、1Nm3当たり89円だったコストが2.5円になると試算する。同時に、年間に運搬できる液化水素は36tから22.5万tへと増やせる。