全2269文字

 米労務管理クラウドサービスのDeel(ディール)が2021年12月、日本へ進出した。同社は各国の法律や社会保障に準拠した機能の提供に加え、顧客企業が海外の人材を活用しやすくなることを強みに、2019年の創業からわずか3期目で顧客企業を6000社まで増やしたという。各国のパートナーとの協業・連携で事業を拡大する勢いに乗って日本市場へも浸透できるか。

 Deelは企業の国際展開、越境採用を支援する労務管理サービスだ。一般に企業が海外の人材を雇用する場合、現地に法人を設立する必要がある。しかし、同サービスを使うことで現地に法人や拠点を持たずとも海外の人材を活用できる。

各国の法律や労務を把握し、越境採用をスムーズに

 提供する主なサービスは2種類ある。1つはディールが雇用主となり、世界各国で雇用した人材を顧客企業に派遣する「EOR(Employer of Record)」サービスだ。顧客企業はDeelと契約を結ぶ。人材1人の派遣につきディールに月500ドルを支払い、直接的な業務指示を送りながら業務を進められる。ディールの強みは各国に拠点と専門的なパートナーを抱える点だ。Deelは各国の法律や文化を踏まえつつ、労務管理や給与計算、福利厚生の提供などを担う。

 もう1つのサービスは労務管理だ。Deelは全世界に広がるネットワークから人材を検索する機能を提供。顧客企業はそれを使い、海外在住の個人事業主などの中から自社に合う人材を探して請負契約書を交わす。契約書はDeelが用意しており、各国の法制度などに準拠した内容となっている。そうして契約した海外人材に対する報酬額の計算や経費精算に際しても、顧客企業はDeelの労務管理サービスを利用できる。料金は人材1人あたり月49ドルだ。

Deelを利用する企業の管理画面
Deelを利用する企業の管理画面
(出所:Deel)
[画像のクリックで拡大表示]

 日本の在留外国人は少子化などを背景に、年々右肩上がりに増えている。就労目的での日本滞在が認められる「専門的・技術的分野」に該当する在留資格の保有者も年々増加傾向にあることから、Deelは日本における海外人材の活用ニーズも高まっていると判断。「新型コロナ禍で日本にもリモートワークの概念が浸透しつつある今こそ、ニーズがあると判断した」(Deelの中島隆行カントリーマネージャー)こともあり、このタイミングで日本進出に踏み切った。

海外から日本に来て働く人は増えている
海外から日本に来て働く人は増えている
(出所:厚生労働省)
[画像のクリックで拡大表示]