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2025年度にも4端子タンデムのまま実用化

 東芝は今後、Cu2O太陽電池の単体での変換効率を10%に高め、同時に結晶Si太陽電池単体の変換効率を今回の19%から20%に高めて4端子タンデムでの変換効率30%を目指す。2023年度にサンプル品を出荷し、2025年度には実用サイズ品の製造技術を確立するのが目標だ。Cu2O太陽電池単体の高性能化は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業だが、既に2021年春からは、東芝と東芝エネルギーシステムズが独自資金で、発電エリア4cm角の大型4端子タンデム太陽電池モジュールを開発中だとする。

4cm角の4端子タンデム太陽電池も試作済み
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4cm角の4端子タンデム太陽電池も試作済み
左はCu2O太陽電池単独のセル。右は結晶Si太陽電池との4端子タンデム。東芝と東芝エネルギーシステムズが共同で開発した。ただし、変換効率などは検証中だとする。(写真:東芝)

 ちなみに、4端子タンデムは2つのセルを電気的に直列につなぐ2端子タンデムに比べて、変換効率を高めやすく、特に光の入射角度が変わっても変換効率が急減しにくい強みがある。ところが、これまで量産された4端子タンデム型の太陽電池はまだない。

 これについて東芝は、「(4端子タンデム型太陽電池の量産例がないのは)一般には配線がかさばりそうだとか、パワーコンディショナーを2台用意しなければならず不経済だと思われているため。ところが、具体的に検討してみると配線は意外とコンパクトにできるめどが立った。また、パワーコンディショナーについては他の太陽光発電でも発電規模を大きくしていくと複数台の導入が必要になるため、4端子タンデムが特段不利ということにはならない」とする。