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 今秋、電力市場はこれまでに見たことのない値動きを見せている。何が起きているのか。足元の端境期に生じている電力市場高騰の謎に迫る。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 2021年10月からの端境期における高騰相場は明らかにこれまでの高騰とは様相が異なる。燃料制約に起因する昨冬の高騰も異常だったが、ある意味、需要期に価格が上昇すること自体はあり得る話とも言えた。これまでとは異なる何かが起きている。

 1年の中で電力需要が低い3~6月と10~11月は端境期と呼ばれ、夏や冬に比べて電力需要が小さいため電力価格は低いのが常だった。

 確認のため、まずは2019年と2020年の9月~11月の日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の価格推移について、北海道、東京、関西、九州エリアのグラフを下に示しておく。

 青枠が10~11月の端境期に当たる。需要期の終盤である9月に高値が発生しているのに対して、北海道を除けば10~11月の電力価格は概して低水準で、変動(ボラティリティ)も小さい。

2019年秋、端境期の市場価格は平穏だった
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2019年秋、端境期の市場価格は平穏だった
グラフ1●2019年9~11月のJEPX価格推移
2020年も端境期の市場価格は平穏
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2020年も端境期の市場価格は平穏
グラフ2●2020年9~11月のJEPX価格推移

 だが、今年は大きく異なる。2021年は9月の電力価格推移がむしろ低水準でおとなしいものだったのに対して、10月になった途端、まるで暴れ馬のように振る舞うようになった。

今秋のJEPXスポット市場は暴れ馬のように高騰が続く
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今秋のJEPXスポット市場は暴れ馬のように高騰が続く
グラフ3●2021年9~11月のJEPX価格推移

 一方で、今年7月から電力・ガス取引監視等委員会は、昨冬の価格高騰時の検証を踏まえて、新たな監視及び情報公開を始めている(「電力スポット市場等の価格高騰時における大手電力事業者に対する監視及び情報公開の対応について」参照)。当該サイトでは、対応について次のように説明している。

関連資料 電力スポット市場等の価格高騰時における大手電力事業者に対する監視及び情報公開の対応について
「電力スポット市場におけるコマ毎のシステムプライス、エリアプライス、時間前市場におけるコマ毎平均価格のいずれか」が、『30円以上』となった場合、

(1)旧一般電気事業者(※1)に対して、電力スポット市場へ余剰電力全量の売り入札を行ったことを示すデータの提供を求め、これを確認します

(2)各社(※2)の自社需要見積もり及び需要実績に関するデータについて、速やかに当委員会ホームページにおいて公表します(※3、※4)

※1:北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力ミライズ、JERA、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力
※2:北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、中部電力ミライズ、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力
※3:旧一般電気事業者は、スポット市場への入札に当たり、自社需要見積もりを算定・控除した上で、入札可能な量を計画しています。昨年度冬期に発生した電力スポット市場価格高騰に際しては、特定の日においては、この自社需要見積もりと実績値の乖離が見られたことから、各社の需要見積もりの精緻化を図り透明性を高めるため、需要見積もりと需要実績を比較することの重要性が制度設計専門会合において指摘されたところです。
注1:太字は当研究会による
※4:上記の自社需要見積もり及び需要実績のデータの公表については、システムプライスまたは時間前市場約定価格が基準に該当する場合には全ての旧一般電気事業者(沖縄電力を除く)を、エリアプライスが基準に該当する場合には当該エリアの旧一般電気事業者を対象として、価格高騰の翌週を目途にホームページにおいて公表します。
参考サイト 電力・ガス取引監視等委員会のホームページ