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 熊本県合志市に本社を置く設備工事会社、セイブ管工土木。同社は従業員16人の規模ながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを先駆的に進めている。2021年11月、ITコーディネータ協会のDX表彰で優秀賞(情報処理推進機構理事長賞)を獲得した。加えて、経済産業省から「情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度(DX認定制度)」の認定も受けている。

 セイブ管工土木の坂井さゆり取締役は、グループ企業である廃棄物収集運搬業などのセイブクリーン、配管洗浄などを担うボルボックスも巻き込んで、DXをけん引している。情報共有のためのサーバーを構築するなど社内の業務プロセス改善からデジタル技術の活用を始め、自治体への情報提供などステークホルダーと関与する現場業務の改善、ビジネスモデル自体の変革へと取り組みを進める。

 坂井取締役は「現場や顧客の困りごとを経営課題として1つずつITで解決していったら、それをDXと評価してもらえた。先端のITを使うことがDXではなく、ITを使ってどうなりたいかを決めて実行するのがDXなのだと気付いた」と話す。

 その言葉通り2021年には、2016年の熊本地震におけるITツールの活用経験を生かして「排水管路デジタル健康診断システム」という新事業を生み出した。

熊本地震の現場における下水道復旧作業の様子
熊本地震の現場における下水道復旧作業の様子
(出所:セイブ管工土木)

 熊本地震の際、被災の現場では下水管のズレや配管の破損により応急処置の対象箇所特定が難航。作業車両が入れるスペースなどにも制約が発生し思うように作業できない事態に陥った。そこで坂井取締役は現場を担当していた、セイブ管工土木の統括営業部に所属する藤井勝洋氏からの提案を基に、テレビカメラ付き高圧洗浄車の導入を決断。配管内の状況をリアルタイムにデータとして共有することで破損状況を明確化し、即時の復旧作業を可能にした。

 このとき経験した「画像による配管内の状況確認」を、新規事業の排水管路デジタル健康診断システムにつなげた。「従来は排水管の汚れやそれに起因する異臭などのトラブルに対し、対象箇所を清掃するのが仕事だった」(セイブクリーンの長友学環境保全推進部部長)。新規事業では、人工知能(AI)によって排水管内の様子を撮影した画像から汚れなどの状態を診断。予防対策の提案、配管工事や清掃、定期点検までを一気通貫で提供するサービスとする予定だ。

「排水管路デジタル健康診断システム」イメージ図
「排水管路デジタル健康診断システム」イメージ図
(出所:セイブ管工土木)

 セイブグループのDXを支援するITコーディネータ、アイティ経営研究所の中尾克代代表とともに新規事業のターゲット分析をした結果、新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことにより排水管が詰まるトラブルが多発している状況をつかんだ。民間と公共の境界線で管理・メンテナンスが満足になされていない領域があることに気付き、需要は十分にあると見込んでいる。