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 政府の「デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)」は2021年12月22日に第2回会合を開き、4万件以上の各省庁の既存法令などを2022年春までに総点検し、リストアップした問題点をその後の3年程度で改正していくことを決めた。デジタル社会にそぐわない「目視」「対面」「人の常駐」といった既存の規制を見直す。実現には、各省庁と連携しどう巻き込んでいけるかが肝になる。

各省庁の4万件以上の法令などを精査

 デジタル臨調の狙いは、デジタルの視点から規制改革と行政改革を一括して進め、国や地方自治体の制度を含めた構造改革を推進することだ。2022年春をメドに「一括的な規制見直しプラン」を取りまとめ、その後の3年程度を「集中改革期間」としてデジタル原則へ適合するよう見直す。

デジタル原則に適合する規制見直しの進め方
デジタル原則に適合する規制見直しの進め方
出所:デジタル臨時行政調査会
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 見直しの端緒として取り組むのが、第2回会合で決定した「デジタル原則」に沿わない法令などの洗い出し作業だ。デジタル原則とは、政府がデジタルの視点で規制改革や行政改革を進めるにあたっての共通の指針をまとめたもので、デジタル社会形成基本法に基づく重点計画に盛り込んで2021年内に閣議決定する見通しだ。

 デジタル原則は5項目から成る。具体的には(1)従来「目視」「対面」などを義務付けていたものに対しデジタル処理や自動化を基本とする「デジタル完結・自動化原則」(2)事前規制ではなく柔軟でスピーディーな事後規制に変えていく「アジャイルガバナンス原則」(3)民間ITサービスやツールの活用といった「官民連携原則」(4)国や自治体の壁を超えてデータ共有やシステム連係をする「相互運用性確保原則」(5)マイナンバーや法人向け認証サービス「gBizID(GビズID)」、「ベース・レジストリ(公的情報基盤)」といった共通基盤を官民が利用する「共通基盤利用原則」、である。

 見直し対象となっている法律、政令、省令、告示、通達、ガイドラインなど計4万件以上のうち、法令データベースで検索できる法律、政令、省令計約1万件を先行して点検したところ、このうち約5000件に「現場での対面を求める」「定期点検などを求める」「人の常駐を求める」「対面・書面を求める」といった、デジタル原則に適合しない可能性がある条項が含まれていた。まずはこれらを精査する。その上で、告示約1万件、通達など約2万件に加え、独立行政法人などが定めるガイドラインなども精査する。

 一括規制見直しプランの対象の多くは、上述の5項目のうちデジタル完結・自動化原則に沿わないものになりそうだ。該当する条項が含まれる法令は、現時点で約2000件確認されている。書面や目視、常駐といったアナログの手法に限定した手続きなどについて、デジタルで完結するよう見直しを求めるほか、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの自動化を前提にできないか検討する。

 また、政府による全ての行政手続き約2万2000件のうち、オンライン化されていない約1万8000件の手続きをオンライン化し、既にオンライン化されているものはオンライン利用率の引き上げを進める。

 2022年1月から各省庁と連携し、今後の点検や見直しの作業方針を決める。デジタル臨調事務局と内閣府規制改革推進室が中心となり進めるが、各省庁も自主的に見直しを進め、同年春に取りまとめる規制見直しプランに反映させる。

 その上で、業界団体などを通じて、見直しのニーズを事務局で調査する。企業や自治体などが実際に困っている規制などをヒアリングによって洗い出し、規制見直しの優先順位付けをする。

 規制見直しプランの策定後に設ける3年程度の集中改革期間では、見直しが必要とされた法律について、一括で法改正するべく具体化を進める。政省令や通知、通達などはできるだけ早く改正する。併せて、規制見直しの可否を検討するための技術的検証も行う。例えば設備検査で「目視」を無くすことで安全性が損なわれたりやリスクが高まったりするケースも考えられることから、技術検証でそうした懸念がないかチェックする。