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 ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリングのグループ(以下、ソニー)はLiDAR(レーザーレーダー)などに向けて新しいSPAD(Single Photon Avalanche Diode:単一光子アバランシェダイオード)を試作した。同社従来品と同じく裏面照射型で、多画素化に向けて画素ピッチを縮小させながら、高い効率と小さいタイミングジッターを達成した点を特徴にする。LiDARの光源で用いる近赤外線での感度も、同社従来品に比べて約1.4倍にした。量産性が高い製造プロセスで作製した。こうした一連の成果について、米サンフランシスコで開催した半導体分野の国際会議「67th International Electron Devices Meeting(IEDM 2021)」で発表した。

試作したSPADセンサーの概要
試作したSPADセンサーの概要
裏面照射型を採用した(出所:ソニー)
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 SPADは、入射してきたフォトン(光子)数を数えるフォトンカウンターとして利用できる。入射した1つの光子から大量の電子と正孔のペアを雪崩のように大量に生じさせる「アバランシェ(雪崩)現象」を利用して受光感度を高めている。SPADをアレー状に並べてセンサーとし、ToF(Time of Flight)で測距するLiDARの受光素子として利用される場合が多い。ToFでは、近赤外線のレーザー光を照射し、対象物で反射して戻ってくるまでの時間を算出して距離を測る。中でも、100mを超えるような遠方にある物体までの距離を計測するのに向く直接(ダイレクト)ToFの受光素子として利用される。

 ソニーは、車載LiDARやモバイル向け3次元(3D)センサーでの利用を想定している。同社は20年12月の「IEDM 2020」で、裏面照射型のSPADの研究開発成果を発表。その成果を基にしたSPADとレーザー光源などを組み込んだLiDARモジュールを試作し、半導体の国際学会「2021 International Solid-State Circuits Virtual Conference(ISSCC 2021)」で発表した。こうした一連の成果を基にしたSPADセンサー製品を開発し、22年3月にサンプル出荷を始めることを21年9月に明らかにしている。