全2414文字
PR

「カタログ値の偽装は可能」

 先の通り、三菱電機は騒音自動測定システムの活用によって騒音値のデータ偽装はできないと主張。これに加えて、品質改革推進本部の竹野氏は「測定値がそのままカタログに載っていることを確認した」と語った。だが、これに対して関係者は「カタログ値についても偽装することは可能だ」と反論する。

三菱電機の漆間啓社長(左)と竹野祥瑞常務執行役(右)
[画像のクリックで拡大表示]
三菱電機の漆間啓社長(左)と竹野祥瑞常務執行役(右)
日経クロステックが性能不正を報じた冷熱システム製作所の検証結果に、竹野氏は「一点の曇りもなく正しい」と説明。検証結果に対して筆者が挙げた疑問点に漆間社長は「技術的にきっちり説明する」と語った。(写真:日経クロステック)

 確かに、2006年以降、同社では騒音試験の生データが機械的に処理されている。測定値をPCに取り込み、専用ソフトウエアで自動的に騒音のグラフが作成される。そのファイルを持ってくれば、生データは全て見られる仕組みになっているという。ところが、「それがカタログ値にそのまま反映される仕組みにはなっていない。カタログ値は技術者がいかようにも変えられる」(関係者)というのだ。

隠蔽を見抜けるメンバーが不可欠

 木目田委員長は「原データ」なるものの正体を改めて検証し、三菱電機の隠蔽工作の疑惑を追及すべきだ。いや、それだけでは済まない。同社は冷熱システム製作所の検証作業について、「リビング・デジタルメディア事業本部が逐次確認して」(報告書)いると主張。併せて、調査委員会は「根拠資料の確認やヒアリングによって検証の内容を確認している」と述べている。

 隠蔽工作をあっさりと見逃すような技術検証力しか持たないのであれば、調査委員会および品質改革推進本部は、三菱電機の品質不正を調査・検証する組織の体を成していないと言わざるを得ない。メンバーの適任性を含めた再構築が必要だろう。具体的には、業務用エアコンの開発設計の知見を持ち、かつ三菱電機とは無関係の第三者をメンバーに加える必要がある。冷熱システム製作所はリビング・デジタルメディア事業本部に属しており、いわゆる“身内”の関係にある。調査委員会ですら「内向きで閉鎖的な組織風土」(報告書第1報)と指摘しているのに、これでは検証に客観性は全く認められない。

 三菱電機の業務用エアコンで、新たに騒音不正が発覚した。この製品は騒音自動測定システムが設置された後に開発されたものである。カタログ値が偽装された疑いが濃厚だ。次回以降、三菱電機の主張に対する「反例」としてこの騒音不正を取り上げる。