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後から同意内容の変更が可能

 PPMに関するデータ提供や共有の設定は後から変更できるようにする。今後、健康医療情報を研究やサービス開発などに利用したい研究機関や企業が現れた場合、利用者に通知してその都度データの利用許諾を得る。埼玉医科大学とKDDI総合研究所は、PPMを使用したデータの利活用について検討するコンソーシアムを21年10月に立ち上げており、既に大日本住友製薬やテルモ、JMDC、PREVENT(名古屋市)など複数の企業と医療機関が参画している。

 PPMを使用したデータ活用の同意取得は、2021年3月に文部科学省と厚生労働省、経済産業省の3省が制定した「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が追い風となっているという。同倫理指針は従来あった2つの指針を見直して統合し、一部内容を変更したものだ。これまでは患者のデータを研究で利用するには場合によって口頭や書面での説明と同意が求められており、研究を始めるタイミングで患者に医療機関へ来てもらうケースがあった。

 今回制定された倫理指針では、研究にデータなどを利用する説明と同意取得の方法として「電磁的インフォームドコンセント」が追記された。電磁的なインフォームドコンセントには、本人が研究機関から送信された説明コンテンツにアクセスし、納得した上で同意ボタンを選択する方法などが含まれる。PPMを使った方法も電磁的インフォームドコンセントに該当するという。

 またPPMは国際標準化団体oneM2Mにより国際標準の仕組みとして認証されている。国ごとのルールに準拠した上で、様々なアプリで集めたデータを本人の同意を得て国外の企業や医療機関のアプリやシステムと共有できる可能性がある。「国内だけではなく海外の研究機関とデータを共有したり、逆に海外のデータを日本の研究に利用したりするなどグローバルなデータの利活用も期待している」と泉田教授は話している。