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 政府の2022年度のデジタル関連予算が総額1兆2798億5500万円と、当初予算としては過去最大規模に達したことが分かった。政府が2021年12月24日に閣議決定した2022年度の一般会計予算案について、日経クロステックがデジタル関連の主な事業を集計した。

 予算案の各事業内容を編集部が確かめて、デジタル関連と判断したものを集計した。当初予算では総額7000億〜1兆円程度で推移してきた近年のデジタル関連予算から2000億円以上増加している。地方への交付金をデジタル化の支援へと内容を変えたほか、デジタル人材の育成事業に厚く配分した点が目立つ。岸田文雄政権が看板に掲げるデジタル田園都市国家構想や「デジタル社会の実現に向けた重点計画(デジタル重点計画)」を実現する政策に重点配分した。マイナンバー制度関連も高い水準を維持している。

 国会では2021年12月に2021年度補正予算が可決され、日経クロステックの集計ではデジタル関連は総額2兆8616億7100万円だった。補正予算と一体化した2021年12月~2023年3月までの「16カ月予算」で見ると、岸田政権は総額4.1兆円強をデジタル分野に投入する。1年前に一体で編成した「15カ月予算」(2020年度第3次補正予算と2021年度当初予算)で投じた1.7兆円の2.5倍近い規模に拡大する。

企業のデジタル人材育成に総額500億円を助成

 デジタル田園都市国家構想の実現に向けた政策では、1000億円を計上した「地方創生推進交付金」が目立つ。予算額そのものは前年と同じだが、事業内容をデジタル活用型にシフトさせたことで新たにデジタル予算に加わった。

表 2022年度当初予算(一般会計)のうちデジタル田園都市国家構想、デジタル重点計画に関わる主なデジタル関連予算
前年度比は比較できない場合は「─」とし、国土交通省は資料に基づき倍率で表した
省庁予算項目22年度予算額(億円)前年度比
内閣府デジタル活用を重視した地方創生推進交付金1000増減なし
厚生労働省デジタル人材育成の強化など504新規
IT分野のスキル習得に向けた公的職業訓練の強化7新規
総務省マイナンバーカードの交付・申請促進1064.50.8%増
デジタル庁マイナンバー制度の推進4.774.0%増
経済産業省成長型中小企業等研究開発支援事業104.93.7%減
地域未来DX投資促進事業15.935.8%増
防衛省防衛関連中小企業のセキュリティー対策8

 市区町村と都道府県から交付対象の事業を募る点は例年通り。ただし事業を支援する枠では、地場産業や医療、福祉などデジタル技術を地域社会で活用する事業に限定する。また地域の拠点整備を補助する「拠点整備交付金」の枠も、デジタル技術を活用すると加点して審査を通過しやすくする。

 事業を支援する枠は、自治体としては珍しいデジタル活用事例を支援する「先駆タイプ」と、既にある先行事例を地域に取り入れる「横展開タイプ」の2つに分けて募集する。例えば、配送や農水産業でのドローン活用や遠隔医療などは先駆的な事業として応募できる見通し。拠点整備を含めて、数百規模の自治体を募集する計画だ。

 人材関連では、デジタル人材育成に向け、厚生労働省が企業向けの助成金に504億円を投じる。従業員に教育や研修を実施する企業に費用を支援する「人材開発支援助成金」で、デジタル人材育成に関する要件を新たに追加し、助成先の企業を募る計画だ。厚労省が運営する公的職業訓練(ハロートレーニング)には、7億円を投じてIT分野の職業訓練枠を増やす。

 2021年度補正予算で強化した中小企業のデジタル化支援も引き続き拡充する。経済産業省が104億9000万円を計上した「成長型中小企業等研究開発支援事業」は、大学や公設試験研究機関、他企業と共同でものづくりの基盤技術開発などに取り組む中小企業・小規模事業者に補助金を支給する。既にデータトラッキング制御技術やロボットへの画像処理組み込みソフトウエアの開発などが採択されている。

 経産省は中小企業同士の横連携システム構築などによる新サービス創出などを支援する「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」にも10億2000万円を計上した。サプライチェーンを構成する事業者間で受発注情報や在庫情報を共有するネットワークシステムを構築するなどの場合に、システム構築費用やクラウドサービス利用料を支援する。

1064億円でマイナカード普及へラストスパート

 マイナンバー関連では、総務省がマイナンバーカードの交付や申請の促進に1064億5000万円を投じる。主な内訳は情報書き込みなどカード発行業務を担う地方公共団体情報システム機構(J-LIS)向けに411億1000万円、市民への交付事務を担う市区町村向け補助金が616億1000万円などである。

 政府は2023年3月までに、マイナンバーカードを「ほぼすべての住民に交付する」という目標を掲げている。総務省によれば、達成に必要な予算は2022年度予算案ですべて計上した。マイナンバーカードの交付率は2021年12月1日時点で39.9%と当初目標を下回っており、2021年度のカード交付関連予算は余る見通し。2022年度はこの繰り越し分と合算して、残る過半数の住民に向けてカード普及のラストスパートを掛ける年となる。