地方自治体やITベンダーなど29の団体・企業からなる「自治体デジタルトランスフォーメーション協議会」は2022年1月12日、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の支援などを求め、デジタル庁に対して要望書を提出した。背景には、ヒトもカネもない中でのDX推進に頭を抱える小中規模自治体の危機感がある。
さらなる「標準化」を求める
自治体デジタルトランスフォーメーション協議会は2021年3月設立の任意団体である。自治体向けITコンサルティングを手掛けるITbookや凸版印刷などが事務局を務め、広島県安芸太田町、神奈川県伊勢原市、京都府木津川市、埼玉県戸田市など7自治体、ITベンダーなど22社が会員として名を連ねる。
自治体のDX推進を巡っては、政府が2020年12月に自治体DX推進計画を策定し、2021年7月に具体的な進め方を自治体DX推進手順書としてまとめた。そのうえで、自治体システム標準化や行政手続きオンライン化などで自治体向けの補助金交付のため、予算2195億円の「デジタル基盤改革支援基金」を地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に設置した。
その一方で、「国は計画をつくりレールを敷いたが、全国津々浦々で足並みがそろわないというのが実感だ」と、同協議会の事務局を務めるITbookの小林啓男常務執行役員は話す。
要望書ではDX推進のための自治体への財政支援拡充、地方のデジタル人材不足に対する支援、オンラインでの行政サービスなどに向けた仕組みの構築、自治体システム標準化に向けた支援強化、地域振興の指針やモデルケースの策定を求めた。
中でも強調したのが、さらなる「標準化」である。政府は、自治体に対し2025年度末までに基幹系業務など20業務の標準仕様準拠システムへの移行を求めている。要望書ではこの20業務にとどまらず、オンライン申請システムと基幹系との連携といった、行政手続きオンライン化に必要なシステムや他の業務システムの標準化も求めた。