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 ソニーセミコンダクタソリューションズとソニーセミコンダクタマニュファクチャリングのグループ(以下、ソニー)は監視カメラ向けに新しいイメージセンサーを開発し、2021年12月に米サンフランシスコで開催された半導体分野の国際会議「67th International Electron Devices Meeting(IEDM 2021)」で発表した。既に製品に導入済みの技術で、従来製品に比べてダイナミックレンジ(DR)を大幅に拡大した点が特徴である。開発品の画素サイズ(ユニットセルサイズ)は2.9μm角で、1回(単)露光でのDRは97dBと業界最高水準の値を達成した。同社従来品では82dBだった。DRを向上させることで、明暗差の大きな場面、例えば、昼間に太陽光が降り注いでいる場面で、日なたの物体のみならず、日陰部分の物体をくっきり撮影できる。

 一般に高いDRは、異なる露光時間で撮影した画像を複数重ねる多重露光で実現する。その際、動体を撮影した部分において「アーティファクト」と呼ばれるノイズが生じる場合がある。このノイズは、AI(人工知能)技術による画像認識で誤認識の原因となる。今回達成した97dBを実現するには、従来はこの多重露光が必要だった。今回の成果を利用すれば単露光で済む。

多重露光による動体撮影時の課題
多重露光による動体撮影時の課題
(出所:ソニー)
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 単露光でDRを高める手法は幾つかあるが、代表的なものとして1回分の露光時間でフォトダイオード(PD)からの電荷を「FD(Floating Diffusion)」領域に複数回蓄積してそれを読みだす方法がある。同手法だと100dBを超えるDRを達成できる。ただし、光量が大きいところでS/Nが低下しやすいといった課題があり、監視カメラ用途にはあまり向かないという。そこで、単露光でかつ、1回の電荷蓄積で高いDRを達成する手法を採用した。

 今回、DRを拡大するために飽和電荷量(Full Well Capacity:FWC)を、ソニーの従来製品に比べて約3倍に高めている。主に画素構造やプロセス技術の改善で達成している。