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 オムロンは2022年1月12日、草津事業所(滋賀県草津市)内にある、顧客と自動化技術を開発・実証する拠点を刷新した。敷地を従来の約2倍の708m2に広げ、新たにローカル5G(第5世代移動通信システム)を使えるエリアを設けた。顧客は自社の装置や生産設備を持ち込んで、オムロンのロボットや制御技術と組み合わせた実証実験ができる。

 オムロンは、同社の制御技術やソフトウエアを活用した自動化技術を顧客が体験し、新規開発につなげるための共創拠点「オートメーションセンタ(ATC)」を世界37カ所に設置している。このたび、同社初のATCとして11年に設立した「ATC-KUSATSU」をリニューアルすると共に、顧客が実機検証できる「POC-KUSATSU」を新たに併設した。

POC-KUSATSUでは実機を使った検証が可能
POC-KUSATSUでは実機を使った検証が可能
(出所:オムロン)
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 POC-KUSATSUの目玉の1つが、ローカル5Gの整備だ。オムロンは19年からNTTドコモ、ノキアグループと草津工場で5Gを活用した共同の実証実験を進めている。この中で、屋内における5G通信の有用性を確認できたため、21年12月、オムロンが独自にPOC-KUSATSUでローカル5G無線局免許を取得した。

 POC-KUSATSUには5Gの活用例を紹介するデモンストレーションを用意した。具体的には、多品種変量の生産に対応して柔軟に組み換えられる生産ラインを展示している。供給工程、加工工程、検査工程に見立てた3つの独立した生産設備ユニットと、各工程間で部品や製品を運ぶ自動搬送ロボットからなる。

5Gと自動搬送ロボットを活用したPOC-KUSATSUのフリーレイアウトライン
5Gと自動搬送ロボットを活用したPOC-KUSATSUのフリーレイアウトライン
供給、加工、検査の3つの設備ユニットと自動搬送ロボットからなる。(出所:オムロン)
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 従来の生産設備は有線ケーブルで生産に関する情報を送受信している。装置にはさまざまなケーブルがつながって「ネットワークの根が生えた」(オムロン)ようになっており、これがレイアウト変更の大きな障害の1つとなっている。装置間、装置とサーバー間の通信をローカル5Gで無線化すれば、ケーブルを無くす、もしくは減らせるため、需要や生産品種に合わせて生産ラインを変更しやすくなる。5Gであれば大容量のデータも取り扱える。

 他にも、セル生産で部品の組み立てを行う非熟練者を育成するシステムをデモとして用意した。作業者の動きや動線の撮影データをローカル5Gで収集し、人工知能(AI)で解析する。作業ミスや、熟練者との違いをリアルタイムで作業者の見ているモニターなどにフィードバックすることで、早く作業に習熟できる。成長が目に見えるので、作業者のモチベーション向上にもつながるという。

5Gを活用したセル生産の作業者を育成するシステム
5Gを活用したセル生産の作業者を育成するシステム
手の動きなどの映像データを5Gで収集し、AIが解析する。(出所:オムロン)
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