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 2回目になる2021年度容量市場は、平均単価が3109円/kW(経過措置後)と初回の3分の1という安値だった。あまりの違いの大きさに戸惑う事業者も少なくない。なぜ大幅に下落したのか。そもそも容量市場の結果は何を指し示すのか。開示されたデータから読み解く。

 2021年度の容量市場オークション(対象実需給年度は2025年度)の結果が2021年12月22日に電力広域的運営推進機関から公表された。

 今年度のオークションでは市場分断が発生したため、「北海道エリア」「九州エリア」「北海道・九州以外の7エリア」の3つのブロックで約定価格が分かれた。「北海道・九州以外」のエリアプライスは3495円/kWとなり、前年度の約定価格1万4137円/kWから大きく下落する結果となった。

 なぜ、このように大きな変動が生じたのか。これらの価格は需給バランスの実態を表しているのか。前回オークションの数値と比較しながら検証したい。

価格変動が大きいのは容量市場の特徴

 市場という名を冠してはいるが、容量市場は極めて人為的に作られた市場である。

 資源エネルギー庁や広域機関は分かりやすさの観点から、事前に公表する需要曲線においてカーブを緩やかにデフォルメしているが、現実の数値をそのまま表すならば、図1のようにほぼ垂直に近い姿となる。

需要曲線は供給量のわずかな違いで価格変動が大きくなりやすい
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需要曲線は供給量のわずかな違いで価格変動が大きくなりやすい
図1●2021年度メインオークション需要曲線(出所:著者作成)

 目標調達量を基準に見たとき、「上限価格における調達量」はわずか95万kW(0.5%)少ないだけで、「調達価格ゼロにおける調達量」は467万kW(2.6%)多く設定されている。

 これでは、供給が1%程度増減するだけで約定価格は大きく変動せざるを得ず、元々非常にボラタイルな市場であると言える。

目標を0.5%下回れば上限価格がつく
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目標を0.5%下回れば上限価格がつく
表1●目標調達量との差(kW)・比率(%)(出所:著者作成)

 供給曲線も人為的に加工されており、供給曲線の左端には「FIT電源等の期待容量」や「追加オークションで調達を予定している供給力」が加えられ、その分、供給曲線は右にシフトする。

供給曲線にはFIT期待容量などが加わる
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供給曲線にはFIT期待容量などが加わる
図2●2021年度メインオークションの供給曲線(出所:電力広域的運営推進機関)

 FIT電源の期待容量は2020年度から加算されているが(容量市場において有償で調達するものではないが供給力として期待できる値)、さらに2021年度の制度変更に伴い、前回、埋没容量として批判された「石炭とバイオマスの混焼を行うFIT電源の供給力」が新たに加算されることとなった。

 また、実需給2025年度に向けては、H3需要(月の最大需要3日平均)の2%分をメインオークションの調達量から減少させたうえで、追加オークションで調達する変更をおこなった。この2%分も供給曲線に加算した形で表現されている。

バイオマス混焼も容量として追加
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バイオマス混焼も容量として追加
表2●供給曲線に対するFIT電源期待容量などの加算(出所:著者作成)

 これらの制度変更やFIT電源の増加により、2021年度は2020年度と比べて1027万kW程度、供給曲線が右にシフトする結果となっている。