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 富士フイルムホールディングス(以下、富士フイルム)とダイキン工業が「協創」でタッグを組み、エアコン向けに新たな静音化技術を生み出した。2022年1月18日にオンラインで開いた会見で、新技術を応用した静音化部品「加湿・換気静音キット」を披露。室内機の騒音を3~4dB下げる効果がある。

加湿・換気静音キット
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加湿・換気静音キット
室内機の騒音を3~4dB低減する。換気機能を持つ家庭用エアコン向けにオプション販売する。(写真:ダイキン工業)

 富士フイルムが持つメタマテリアルの技術を活用。メタマテリアルは、波長よりも小さな構造体を形成することで、天然の物質では不可能な波動特性を得る人工的な物質のこと。同社はこの技術を音の分野に応用し、音響メタマテリアル技術を確立。樹脂に波長よりも短い周期構造を設けつつ、風を通す穴を開けた静音化材料「通風防音材」を開発した。これを使って両社が加湿・換気静音キットを製作。防音性と通風性の両立を実現した。

 なお、樹脂に設ける構造体に特徴があり、樹脂の種類には大きなノウハウはないという。樹脂名は明かさない。

音響メタマテリアル技術
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音響メタマテリアル技術
波長よりも小さな構造体により音(位相)を制御する。穴(孔)を開けて風を通す一方で、騒音を打ち消す。(出所:富士フイルム)

 騒音を低減する仕組みは、低周波帯域の音と高周波帯域の音の2つに分かれる。

ノイキャンの仕組み

 まず、低周波帯域の音の場合、搬送ホースを通過する入射音(通過音、下図の青色)がある一方で、入射音の一部の位相を、搬送ホース内部に設けた通風防音材が反転させる。すると、通過音と位相が反転した音(下図の赤色)が打ち消し合って騒音が低減する仕組みだ。

騒音を低減するメカニズム
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騒音を低減するメカニズム
通風防音材内部のメタマテリアルが入射音の一部の位相を反転させる。すると、反転音(赤色)と、入射音のうち通過する成分(通過音、青色)とが合成されて振幅がゼロになる。これによりノイキャンを実現する。(出所:富士フイルム)

 一般のノイズキャンセリング(ノイキャン)技術は、反転した音を電気的に生み出すのに対し、音響メタマテリアル技術では、音そのものを位相反転させて打ち消す。「考え方はノイキャンだが、方式は全く異なる独創的なもの」(富士フイルム執行役員先端コア技術研究所長の原田明憲氏)だという。

 一方、高周波帯域の音に対しては、吸音材を使って音を吸収する。