富士通はグローバル基準で通用する技術者の認定制度「Global Fujitsu Distinguished Engineer(Global FDE)」を2021年12月6日に開始した。同社には複数の認定制度や資格制度があるが、「Global FDEは技術者のトップオブトップ、最高峰の位置づけ」(富士通ビジネスマネジメント本部人材開発部の岡田順二統括部長)となる。
制度新設の目的は富士通の技術力の高さを社外にアピールし、Global FDEに認定される高い技術力を持ったエンジニアが富士通により愛着を持ってもらうことなどだ。処遇などは今後詳細を詰めていくという。
今回は富士通のエンジニア約4万人のうち、日本や英国、スペイン、インドから合計32人が認定された。その中からデータ分析と人工知能(AI)分野に強みを持つ2人のエンジニアに認定を受けた率直な感想を聞いてみた。
自動車メーカーから転職ほやほやの福重氏
1人目は富士通のデータサイエンティストをリードする立場にあるDXプラットフォーム事業本部大規模データプラットフォーム事業部の福重貴浩シニアディレクターだ。現在は社内のデータサイエンティストを率い、データを活用して企業の抱える課題を解決することがミッションだという。福重氏は現在50歳で、富士通に入社したのは2021年2月。それまでは「重工メーカーや自動車メーカーで20年以上、計算科学やデータサイエンスに関わる業務に携わってきた」(福重氏)。
最近では富士通グループの保守運用サービスの改善に乗り出したという。具体的には、サーバーなどの保守用部品の最適化と修理期間の短縮を狙っている。修理に使うパーツがどのセンターに何個あるかの在庫管理データ、そのパーツを使う可能性のあるサーバーのデータ、修理記録のデータなどを洗い出した。これまでサイロ化していたデータを統合・分析することで、使用頻度の高い部品を切らさないようにしたり、倉庫で長年眠っているような過剰在庫を減らしたりすることにつなげている。
現在所属する富士通でも十分な実績を上げてきた福重氏だが、Global FDEに選ばれたときは素直にうれしかったという。「私に続く富士通のデータサイエンティストの励みになるかもしれないし、富士通社内でデータサイエンティストが面白い仕事をしていることを、社外のデータサイエンティストに知ってもらえるきっかけになるかもしれない」(福重氏)と考えたためだ。