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 NECは政府・自治体など行政機関向け市場への攻勢を強める。行政機関のクラウド移行や窓口業務のデジタル活用などの支援を打ち出すほか、自治体の業務標準化などの情勢変化に対応し、ビジネス構造にも大きくメスを入れる。

 同社は2022年1月19日に開いた行政機関向け事業の戦略説明会で、注力する5つの領域を挙げた。自治体の「業務標準化」、府省庁や自治体の「デジタル基盤クラウドシフト」、「職員の業務効率化」、「国民の利便性向上」、「マイナンバーカード民間活用」だ。

 NECも含むITベンダーはこれまで個々の府省庁や自治体と契約し、行政システムを構築・運用してきた。しかし、政府はクラウドサービスの活用や情報システムの統一・標準化を進めている。デジタル庁が発足する前の2018年6月、各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議は政府の情報システムを構築する際はクラウドサービス活用を第1候補に検討するという「クラウド・バイ・デフォルト原則」を掲げた。

 さらに、全自治体はデジタル庁の指揮のもと、2025年度末までに標準準拠システムに原則移行し、一部のシステムはマルチクラウドで構成する政府共通システム基盤「ガバメントクラウド」を使う。政府システムのクラウド移行の流れは決定的になっている。

 NECを含むITベンダーの行政機関向け事業はこれまで、オンプレミスのサーバー販売やシステム構築などに重きを置いていた。しかし今後は行政システムの開発案件数や行政機関の顧客数が減少に向かうことが必至であり、このままでは公共ビジネスで潤ってきたITベンダー各社の事業に大きく影響しうる。NECの中俣力執行役員常務も「ハードウエアのビジネスのボリュームは減少すると見ている」との課題認識を示す。

 そこでNECは減少分を補うべく、今後拡大が見込まれるクラウド移行への支援サービスに力を入れるほか、国民との接点となる行政窓口のオンラインサービスなども受注活動を強化。そうした取り組みで同社はクラウド移行支援を行政機関向け事業の主軸に据え、「2025年に向けて現在の2000億円程度の売り上げ規模を維持する」(中俣力執行役員常務)とそろばんをはじく。

NECの中俣力執行役員常務
NECの中俣力執行役員常務
(出所:NEC)
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