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 東京エレクトロン デバイスは、不規則な形状の物をピッキングできるロボットシステム「TriMath(トリマス)」を拡販している。カメラなどの光学機器や独自の画像処理技術により、鉱物や粉体の入った袋、リサイクル工場に集まる廃棄物など形が1つに定まらない物でも把持できるのが特徴だ。既にリサイクル工場などへの導入実績がある。新型コロナウイルスの感染拡大や人手不足で加速する製造現場のスマート化の後押しが期待できる。

形状が不規則な石をピッキングするロボット
形状が不規則な石をピッキングするロボット
(出所:日経クロステック)
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 工場やオフィスで使用するロボットの展示会「第6回 ロボデックス」(2022年1月19~21日、東京ビッグサイト)に出展した。従来のピッキング用ロボットは事前に登録した形状の物体を把持するように設計されたものが多く、不定形の物体をつかむのが難しかった。しかし、実際の製造や物流の現場では多様な形状の物を扱うため、近年は不定形の物体に対応したピッキングロボットの開発が進んでいる。

 TriMathは対象物を撮影するカメラやプロジェクターなどの光学機器、カメラの映像を解析するソフトウエア、物をつかむためのロボットとハンド、それらを統合管理するTrimath OSなどから成る。東京エレクトロン デバイスは主にソフトウエアを開発し、光学機器やロボットは用途に合わせて外部調達する。

 展示会場では、同じケースの中にバラ積みにした箱と石をピッキングし、それぞれ別のケースに仕分けるデモンストレーションを披露した。箱のように一定の規則性がある物体でも、バラ積みしていると不規則に色々な方向を向くためピッキングが難しい。石は形状が不規則なのでつかみにくい。

 デモではピッキングに位相シフト法という手法を用いた。同手法ではピッキングの対象物(この場合は、箱と石)の真上にカメラとプロジェクターを設置。プロジェクターで対象物に縞(しま)模様の光を照射し、カメラで撮る。撮影した画像をソフトウエアで解析し、縞模様のゆがみ具合から、対象物の形状などを含む3次元情報を得る。

プロジェクターで縞模様の光を照射した瞬間
プロジェクターで縞模様の光を照射した瞬間
縞模様のゆがみ具合を解析して、対象物の3次元情報を得る。(出所:日経クロステック)
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 デモでは画像解析で得た情報を基に、最も高い位置にある対象物をハンドでつかみ、位相シフト法用とは別のカメラの画像を解析して、つかんだ物体が箱か石かを識別。それぞれ所定の位置に置いて仕分けしていた。

ロボットが石をピッキングして仕分ける様子
ロボットが石をピッキングして仕分ける様子
写真左手前にある白いケースから、箱もしくは石をピッキングし、その奥にある2つの箱に仕分けるデモを披露した。(出所:日経クロステック)
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 東京エレクトロン デバイスは、画像処理を主力事業とするファースト(神奈川県大和市)を18年に子会社化している。ファーストは、対象物の形を正確に認識する画像処理技術に強みを持つという。つかみたい物体に合わせて画像処理の方法をカスタマイズすることで、不規則な形状のものを把持できるようにする。同社担当者は「他社の類似品で不規則形状物の運搬を試したが、うまくいかなかった企業からの依頼が多い」と話す。