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 Zホールディングス(ZHD)が「クイックコマース」と呼ぶ即時配送のEC(電子商取引)サービスに本格参入する。注文から最短15分で届けるスピードが売りだ。新型コロナウイルス禍で急拡大した即配需要をにらみ、ヤフーやLINE、アスクル、出前館といったグループのアセット(資産)を総動員して勝ち残りを目指す。国内外のEC大手からフードデリバリー(食事宅配)、既存のスーパー大手、新興企業までが激戦を繰り広げるクイックコマース市場。後発となるZHDが強みと頼む「勝ち筋」は通用するか。

新サービスの概要
新サービスの概要
(出所:Zホールディングス)
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 「Yahoo!マート by ASKUL」の名称で2022年1月26日にサービスを始めた。利用者は出前館のWebサイトやスマートフォンアプリで商品を注文。出前館の配達員が専用倉庫(店舗)で当該商品を受け取り、利用者が指定した配達先に自転車やバイクで届けるものだ。

専用倉庫で配達員が商品を受け取る
専用倉庫で配達員が商品を受け取る
(出所:Zホールディングス)
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 商品の対象は、EC事業を手掛けるアスクルが販売する食料品や日用品など約1500種類。現在は東京都の板橋区や港区などの8店舗でサービスを提供している。2022年度(2023年3月期)中に東京都23区に加え、他の一部地域にも拡大する。対象地域は以後も順次広げる。

取り扱う商品の例
取り扱う商品の例
(出所:Zホールディングス)
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 新サービスはZHDが2021年7月から実証実験に取り組んできた「PayPayダイレクト by ASKUL」を改称し、本格展開を始めたものだ。当初は東京都板橋区を中心とした地域で提供していた。実証実験中の2021年10~12月に店舗数を1店舗から5店舗に増やしたところ、12月の注文件数が同年10月の10倍に増えたという。

専用倉庫となる店舗内の様子
専用倉庫となる店舗内の様子
(出所:Zホールディングス)
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 「ZHD全体でECの配送手段の拡充に努めているなか、今後大きくかつ急速に立ち上がるとみているのがクイックコマースだ。ファミリー層や単身者、男女を問わず、様々な利用者から高い評価を得た」。ZHDの秀誠執行役員は、実証実験の手応えをこう語った。実証実験中の平均注文頻度は利用者1人当たり3.7日に1回、月間の最高注文件数は同70回と「他のECに比べてもスティッキネス(引き付けられている度合い)の高いサービスだ」(同)。