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 「全社員をDX(デジタルトランスフォーメーション)人材に」――。そんな掛け声の下、SOMPOグループが約6万人いるグループ社員全員のリスキリング(学び直し)を加速している。

 DX人材の類型別に研修を体系化し、2021年度上期(4~9月)では延べ約7000人が受講した。研修で出た企画が実際にPoC(概念実証)まで進むケースも出てきた。

6万人を3種類のデジタル人材に分類

 SOMPOグループは「グループ全社員が社内課題にデジタルで対応するデジタル人材である」と位置づけ、目指すべき3種類の人材像を定義した。これに沿って2021年度から2023年度までの中期経営計画において「デジタルワークシフト」と呼ぶ人材育成を進めている。

SOMPOグループのデジタル人材育成の全体像
SOMPOグループのデジタル人材育成の全体像
(出所:SOMPOホールディングスの資料を基に日経クロステック作成)
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 1つ目のデジタル人材である「DX専門人材」は、SOMPOホールディングス(HD)のデジタル戦略部や事業会社のデジタル部門/新規事業部門に所属する、データサイエンティストやエンジニア、デザイナーなどを指す。この人材は主に外部採用で集める。

 SOMPOグループが最も育成に注力するのが2つ目の「DX企画人材」である。社内外の問題を発見する力やデジタルを活用して解決する力などを備える人材で、対象はSOMPOHDの全社員と事業会社の本社社員である。

 研修を通してデジタルの知見を高め、業務と技術をかけ合わせて企画する力を磨く。研修ではまずベースとなる「DX基礎研修」を受講する。数日にわたり1日2時間半の講義を受け、受講後にリポートを提出する。

 加えて、SOMPOHD全社員と事業会社の企画部員は技術系の研修も受ける。「AI(人工知能)」「ビッグデータ」「CX(顧客体験)アジャイル」「デザイン」の4コースがあり、それぞれが基礎と応用に分かれる。

 3つ目のデジタル人材である「DX活用人材」は、上記2つのデジタル人材を除いたグループ全社員が該当する。AIやビッグデータなどに関する基礎知識を持ち、現場におけるデジタル活用に取り組む役割を担う。

 実はDX活用人材の育成の一部はDX企画人材が担う。事業会社のDX企画人材の一部には「DX基礎 伝播(でんぱ)方法研修」を受けさせて講師役に育てている。

ビジネスの種が出たのは「うれしい驚き」

 DX人材の研修をスタートさせた2021年度、上期の研修実績はどうだったのだろうか。SOMPOHDによるとDX活用人材向け研修を延べ約6000人が受講し、DX企画人材向け研修を約1000人が受講したという。