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 楽天生命保険は2022年1月31日、保険の引き受けに関する査定を自動化する新システムを稼働させたと発表した。日立製作所のリスクシミュレーションサービス「Risk Simulator for Insurance」を使い、保険に加入したい人の現在の健康状態から将来の入院リスクをAI(人工知能)で予測する。医療の専門知識を必要とする査定者の人手不足に対応するとともに、データに基づく査定基準の見直しを進める。

 新システムでは、楽天生命の医務査定者が人手で実施していた査定業務を自動化する。保険販売代理店の営業担当が持つタブレット端末で加入希望者が入力する告知情報を、楽天生命の基幹システムから日立のRisk Simulator for Insuranceにデータ連係する。Risk Simulator for Insuranceは告知情報に基づいて加入希望者の入院リスクを予測し、自動で保険を引き受けられるか否かを判定する。

楽天生命の基幹システムとRisk Simulator for Insuranceをデータ連係させる
楽天生命の基幹システムとRisk Simulator for Insuranceをデータ連係させる
(出所:日立製作所)
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 Risk Simulator for Insuranceは8大生活習慣病による入院発生確率と、入院日数の期待値を算出できる。この結果を受け、楽天生命は新システムで、入院日数の期待値が健康状態の人に比べて何倍高いかを基に引き受け可否を決める。

 Risk Simulator for Insuranceはもともと日立が、約21万人の被保険者を抱える日立健康保険組合向けの保健事業支援や大手生命保険会社との共同研究などを通じて得た医療ビッグデータの分析ノウハウを用いて開発した。年齢や性別といった属性、血圧や血糖値など健康診断の数値、過去の既往歴といった234の項目が入院リスクをどれくらい高めるかに基づいて8大生活習慣病それぞれに対する係数を割り振り、最終的なリスクを予測する計算式をつくった。

健康診断の数値や既往歴などを基に入院リスクを予測する
健康診断の数値や既往歴などを基に入院リスクを予測する
(出所:日立製作所)
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 楽天生命はRisk Simulator for Insuranceの導入に当たり、PoC(概念実証)を2021年3月から4カ月間にわたり実施した。ここで日立は生命保険事業者向け機能を追加開発した。