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 日本航空(JAL)では、経営の屋台骨を支える旅客運賃収入の管理関連システム業務を、グループで障害者雇用を担う特例子会社JALサンライトの障害者社員らが担っている。収入管理システムへのデータ入力や検算などを障害者を含む約80人が担当する。障害者の活躍する場を広げるためにどのような工夫を講じたのか。

 JALサンライトの障害者社員が旅客運賃収入管理の業務を担い始めたきっかけは、JALが2021年4月に航空券の販売データを売上実績として計算する収入管理システムを刷新したことだった。

 収入管理システムは、航空券の販売データを基に自社の売上実績を計算するシステムだ。一般に航空券の場合、運賃そのものに加えて税金や空港使用料など様々な費用が追加されている。さらに乗り継ぎを含む旅程では各区間の合算ではなく通しの運賃を適用したり、国際線で就航地点ごとに異なる税制に基づく税金を控除したりと、複雑な条件を加味して売上実績を計算する必要がある。それらの計算が正しいかを確認し、またその後も会計監査などの際に正しく計算されていることを開示する必要がある。そうした処理を担うシステムだ。

「屋台骨」の収入管理システムを国際標準に

 JALは2021年4月、この収入管理システムをスペインのアマデウスITグループ(Amadeus IT Group)のクラウドサービス「Amadeus Revenue Accounting(ARA)」へと刷新した。JALが2017年に導入した旅客系基幹システム「Altea」と同じベンダーであり、Alteaで作成された航空券データをそのまま取り込んで現金収入の状況を迅速に把握できるといった利点がある。「収入管理システムのARAへの刷新は旅客系基幹システムのAlteaへの刷新と同じく、それまでカスタマイズを多く加えていたシステムをグローバルスタンダードに寄せるとの意味があった」。ARAの導入に携わったJAL旅客営業本部業務部レベニューアカウンティング室の小島寛子統括マネジャーは、収入管理システム刷新の意義をそう語る。

 仮に、収入管理システムに取り込まれた航空券データが全く誤りのないものならば、ほとんど手間はかからない。だが実際には、手入力された航空券データにミスが交じっていたり、航空便の欠航や遅れによって払い戻しが発生したりする。そのため、誤りの許されない売上実績を計算するには人の目によるチェックが欠かせない。JALサンライトの障害者社員が担っているのはこうしたチェック業務だ。2021年4月のARAへの移行を機に、障害者社員が担うシステム操作の業務内容を大幅に拡充した。

 とはいえ、ARAにおけるアプリケーションの操作は全て英語で、さらに新型コロナウイルス禍で対面での指導が難しいという状況で、障害者にとって未経験の業務に習熟してもらう必要があった。こうしたなかでもJALは習熟方法に一工夫を加えることで、短時間に一通りの操作をマスターできるようにした。JALの工夫を詳しく見ていこう。