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 「働き方改革の一環で大量導入するスマートフォンについて、電話帳データのセキュリティーを確保できるツールが必要だった」。東京海上日動火災保険の木村英恵IT企画部ビジネスプロセスデザイングループ副主任はこう振り返る。

 同社はPhone Appli(東京・港)が提供するクラウド電話帳サービスの「PHONE APPLI PEOPLE」を2020年8月ごろから導入。社員に配布した業務用スマホにPHONE APPLI PEOPLEのアプリを入れ電話帳などとして利用している。スマホは2021年1月時点で全営業職員約9000人に配布済みで、2022年6月ごろをめどに対象の社員約1万1000人への配布を完了する予定だ。

 電話帳(連絡先)アプリとして、スマホの標準機能ではなくPHONE APPLI PEOPLEを使うのは、大きく2つの狙いがある。1つはセキュリティーの強化。もう1つは、データ引き継ぎ時の負担を軽減する仕組みづくりだ。

PHONE APPLI PEOPLEの画面例
PHONE APPLI PEOPLEの画面例
(出所:Phone Appli)

セキュリティー対策に課題

 スマホを配布する以前は、携帯端末が標準で備えている電話帳アプリを使っていたという。端末を紛失するとデータ漏洩の可能性があるなど、連絡先の管理に課題があった。

 課題はセキュリティーだけではない。木村副主任は「異動の際などに発生する連絡先データの引き継ぎの負担なども課題だった」と説明する。そこで2020年8月から営業職にスマホを配布するタイミングで、端末ではなくクラウドにデータを保管するPHONE APPLI PEOPLEに目を付けた。

 クラウドにデータを保存しているから、異動などによってデータを引き継ぐ際、端末が変わってもデータにアクセスさえできればデータを引き継げる。端末間でデータを出力/入力する必要がなく、ユーザーの負担を減らせる。

 セキュリティーについては、米Microsoft(マイクロソフト)のクラウドサービス向け認証サービスである「Azure AD」との連携が大きいという。東京海上はAzure ADの設定によって、会社が配布する端末からしかPHONE APPLI PEOPLEにアクセスできないよう制限しているほか、アクセスする際には多要素認証を設けている。さらに登録した連絡先データはAzure ADに登録されているユーザーにしか共有できないよう設定している。そのため、「社外に情報が公開されることはないと考えている」(内田慎介IT企画部ビジネスプロセスデザイングループ課長代理)。

 異動などによってスマホを配布した対象社員のアカウントの情報が変更になった場合、Azure AD上でユーザー情報を変更すれば自動で電話帳のデータが変更されるのもポイントだという。