全1740文字
PR

 自動で航行する「無人運航船」の開発が日本で本格化している。日本郵船や傘下の日本海洋科学、NTTグループなど国内30社で構成する「DFFASコンソーシアム」がこのほど実施した実験では、東京湾と伊勢湾を結ぶ往復約790kmの航路でコンテナ船の無人運航に成功。国内海運業界における人手不足などの課題の解消に向け、2025年の実用化を目指す。

 今回のプロジェクトでは、実験船として全長95mのコンテナ船「すざく」を使用した。同船は2022年2月26日に東京国際クルーズターミナル(東京・江東)を出港し、翌27日に津松阪港(三重県松阪市)に到着。同年2月28日に再出港し、翌3月1日に大井水産物埠頭(東京・大田)に戻ってきた。

無人運航の実験船として使用したコンテナ船「すざく」
無人運航の実験船として使用したコンテナ船「すざく」
(撮影:日経クロステック、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]

 東京湾は1日当たりの航行隻数が約500隻に及び、世界的に混雑海域とされるマラッカ・シンガポール海峡(1日当たり約320隻)やパナマ運河(同約40隻)よりも多い。船舶が多数行き交う航路において無人運航を支えたのが、航路の作成から航行中の船舶の制御まで担う独自システム「DFFASシステム」だ。

 同システムは主に船上のコンテナ内で稼働する航行制御システムや、千葉市に設けた陸上支援センター内の監視システムで構成されている。航行制御システムはレーダーなどから取得した周辺海域の情報などを利用し、エンジンや舵(かじ)などを自動制御して船を操る。桟橋・岸壁への「自動離着桟」や他船を検知して衝突を回避する「自動避航」も可能だ。

 一方、陸上支援センター内の監視システムは、衛星通信回線と携帯電話回線を組み合わせた無線ネットワークを介して航行状態や船周辺の状況を常時監視する。緊急時には陸上支援センターから遠隔操船する機能も備える。

千葉市に設けた陸上支援センターで船舶の状態や航路の状況を監視
千葉市に設けた陸上支援センターで船舶の状態や航路の状況を監視
[画像のクリックで拡大表示]
陸上支援センター内に設置した遠隔操船用のシステム
陸上支援センター内に設置した遠隔操船用のシステム
[画像のクリックで拡大表示]