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 国内で約450店舗を展開する眼鏡小売りのジンズ(JINS)は2022年2月から、AI(人工知能)を使った需給管理ツールを本格稼働させた。アクセンチュアの「AI Powered Management Cockpit」を採用。在庫数や販売数などの経営指標を一元管理し、AIが目標達成のための対応策を複数提示。担当者の意思決定をしやすくした。

水戸市のショッピングモールにある「JINS イオンモール水戸内原店」
水戸市のショッピングモールにある「JINS イオンモール水戸内原店」
(出所:ジンズ)
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 欠品や廃棄ロスを削減すると同時に、経験や勘など属人的な部分に頼っていた在庫管理業務の効率化を図る狙いがある。トライアル期間に欠品による売り逃しを約65%削減(粗利金額ベース2019年比)し、廃棄ロスを約10%削減(除却・評価損含む2019年比)できた。

1200種類を扱い、入荷までに半年かかる

 眼鏡は比較的長期保管ができるものの、ファッショントレンドの変化や、商品自体の経年劣化のために、売れ残り商品を廃棄せざるを得ないこともある。一方、定番商品が欠品して売り逃しにつながることもある。JINSは店舗で常時1200種類ほどの眼鏡を扱うが、海外生産も多いため発注してから入荷まで半年ほど時間がかかる。ある程度先の売れ筋を予測しながら、適正在庫を維持することが課題になっていた。

 JINSは2018年に社内の在庫管理を強化するため、「在庫発注チーム」という専門部署を立ち上げた。専門部署で集中処理する効果は出たが、作業は表計算ソフトを使った“人力”頼みで、複数人で毎月延べ約90時間という膨大な時間がかかっていた。それでも、1200種類の全てに目が行き届きにくい問題があった。精度を高めるために、担当者が独自の係数を使うなど、属人化しがちという問題点も浮上してきた。

 こうした問題を解決するため、2019年ごろからITツールの導入計画を進めた。3つほどの製品を比較検討し、最終的にアクセンチュアのAI Powered Management Cockpitを選んだ。選定に当たっては、製品としての実績や、運用しながら売上実績や在庫推移などのデータを機械学習させて精度を高められる点、全てをAIで自動的に決めるのではなく人の意思を加味しやすい点などを評価したという。在庫管理担当者ら20人ほどが利用している。