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 富山市に本社を置き、産業廃棄物の収集・運搬や中間処理などを手掛ける奥村商事が、紙ベースで進めていた配車業務を電子化し、作業時間を4分の1に削減した。システム導入時には現場から懸念の声もあったが1年間の検証期間を設けて効果を示した。

 事業活動の中で発生する産業廃棄物については国や行政が細かい種類を定めている。それらの中でも奥村商事が多く取り扱うのは工事現場で発生する産業廃棄物で、廃棄物が発生する前日までに電話などで収集・運搬の依頼が来る。

 一般的に産廃業者には「配車係」がいて、受けた依頼とこれまでの知見をもとに1日の配車計画を立てる。場所や時間、廃棄物の種類など複数の条件をもとに配車計画を作成する。奥村商事で配車業務を担当しているのは北川啓将氏だ。

 北川氏は配車業務を一人で担い、昼間はドライバーとして働く。昼間は事務員が依頼の電話を受け、紙にメモを残す。北川氏はドライバー業務の終了後、事務員のメモをもとに毎日約2時間をかけて平均5台のクレーン付きトラックの配車計画を立てていた。クレーン付きトラックは後部に産業廃棄物を入れるコンテナなどを積み込める。

奥村商事のクレーン付きトラック
奥村商事のクレーン付きトラック
(出所:ファンファーレ)
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 配車表をつくる上では、様々な変数を考慮する。クレーン付きトラックの後部に積むカゴを下ろす順番や、コンテナを洗浄する場所や洗浄時間などの細かい要件などだ。そのため、配車業務を担当するのもドライバーとして経験を積んだ人に限られる。

 北川氏は配車係の業務の属人化を懸念し、配車業務にシステムを導入することを考えた。地元のベンダーなどのツールも含めて検討した結果、AI(人工知能)で配車を最適化するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「配車頭」を選んだ。2019年に創業したスタートアップのファンファーレが提供する。

配車業務は4分の1に削減

 配車頭は産廃業の配車に特化したSaaSだ。配車業務に必要となる日時や廃棄物の排出場所、作業予定時間、処分場、ドライバーの情報などを入力すると、効率的な配車計画を出力する。ドライバーはスマートフォンを使って当日の予定を確認できる。

 ファンファーレの近藤志人CEO(最高経営責任者)は、配車頭のUI(ユーザーインターフェース)について、パソコンの操作に慣れていない人でも簡単に入力できるように工夫したとする。例えば直接テキスト入力する項目を減らすため、「プルダウンで選択できるようにした」と話す。

配車頭の管理画面
配車頭の管理画面
(出所:ファンファーレ)
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 奥村商事の北川氏は「これまで2時間かけていた配車業務が30分ほどでできるようになった」と導入の効果を語る。配車頭には日中の電話で依頼の連絡を受けた事務員が情報を入力する。北川氏がドライバー業務の後に確認や調整をした上で配車計画を出力している。